キックボード旅人の日常

キックボード旅人による、旅の話とか日常のこと。

つれもていこら!和歌山市

右も左もわからないとは、まさにこのことだ。
自分が今から、どこへ向かって歩いていいかが、わからない。
そもそも、何の目的もなく、この地へ降り立ったのだ。

駅前の地図の前で、仁王立ちしながらの自問は続く・・・


とりあえず、和歌山城方向へと歩いてみるか。
駅前の大通りを歩くと、2分もしないうちに、閑散とした風景へと変わる。
そんな折、吸い込まれるようにして、1件のおもちゃ屋へと足を運んだ。

古びたおもちゃ屋、などというレベルではない。
店内のすべてのおもちゃが、昭和に製造・入荷されたであろう、古びたもの。
もちろんそこは、骨董品屋やマニア用のお店ではない、ごくフツーのおもちゃ屋である。

狭いお店ながら、1つ1つ、くまなく目をやる。
僕が幼少のころ遊んだ、泣きそうなくらいなつかしいおもちゃが、ほこりをかぶりながらたたずんでいる。
出口付近にある、小さい女の子が裸でシャワーを浴びてるパッケージなんて、今や所持だけで犯罪者になる。
タイムマシーンなんてなくても、脳内ではすさまじいタイムスリップを感じた。


まっすぐ大通りを進んでも面白くないので、何本か道をそれて歩く。
より閑散とした道が続いたと思えば、歓楽街へとぶち当たり、やがて小さな商店街へ。
そこで目に留まったものは、信じがたいものであった。

スマートボール
いやいや、スマートボールて!
大阪の新世界では、なかば観光名所的な位置づけで店舗が残っているが、こんな人通りの少ない商店街にあるとは。

迷わず店内に入ると、雰囲気は新世界のそれとほぼ同じ。
今や製造されていないスマートボール台が、ところ狭しと並んでいる。
新世界にない種類の台がたくさんあり、それらボロボロの台が、“新台”に見える。

夢中になって遊び、1,000円がなくなったころは、もう1時間半も経っていた。


その他、やたら誇大宣伝した看板のお店やら、落語教室の実演やら、ばあさんを多数集めた健康詐欺の勧誘とか。
都会では絶対に味わえない、ここでしか味わえない感。
まさか無計画に町を歩き、ここまで満喫できるとは!
和歌山市が、ここまで僕の肌にあう町だとは、盲点であった。

まーくんと夕方、駅で待ち合わせしていたのに、時間を忘れて商店街まで来てもらったことは内密に。