キックボード旅人の日常

キックボード旅人による、旅の話とか日常のこと。

真夏の真相 ~その5~

全身麻酔で長い睡眠状態に陥った、つづき。

 


気がついたのは、左右からの看護師さんの呼びかけ。
目覚めた段階で、手術が終わったのだろうことはわかったが、ここが手術室なのか病室なのかがわからない。
何もわからないままで、「あれしますよ~」「これしますよ~」と、ただ言われるがまま従う。


しばらくして、すでに病室に運ばれていることがわかる。
そして、尿道に管が入っていることと、左手人差し指に何やら計器がつけられていること。
つまり、身動きがとれない状態である。
今まで本やスマホが見られたのでヒマを潰せたが、それすら叶わない。


あと、手術した右手親指が痛い!
手術前より痛みが激しい。
痛みを覚えながら、何も身動きができない。
今回の入院の中でも、唯一の絶望感。
夕方だけれど、もう眠るしかない。
何度か寝たり起きたりを繰り返しながら、ただ時間が過ぎることを願う。

 


翌日。

 


夕方そこそこ仮眠した割に、夜はぐっすり眠れた。
右手の痛みもマシになってきた。
ただ、ボクシンググローブみたいなギプスが右手にあるのに気づき、驚く。
他の指が動くので大丈夫とは思うが、やはり仕事ができるかどうかが心配になる。


あと、依然身動きがとれない。
朝、比較的早起きしてしまったため、またも退屈で苦痛な時間が流れる。

 


状況が変わったのは、朝食が運ばれてから。
「今日退院できますからね」


よかった。
退院時期は手術次第だと聞いていたが、いちばんいい結果である。
そして何より、自由が手に入る。


食後に看護師さんに体をざっとふいてもらい、体中の管を外してもらう。
何より大変なのが、尿道の管。
痛い!
ゆっくり抜いてくれているとは思うのだが、あまりの痛さに絶叫し、途中2度ほど中断してもらった。
若い娘さんに息子を対面させている羞恥心なんて、もはや感じる余裕すらない。
何でも20センチほど入っていたようだ。
物理的な痛みでは、今回の一連の事故・入院でダントツである。

 


さっきまで身動きもままならなかったのに、ベッドから立ち上がったときの感動!
まる1日寝ていたためか、ややふらつきを感じながらも、圧倒的な開放感を感じる。
最後に世話してくれた看護師さんに別れを告げ病棟を出たが、今回関わってくださったすべての人にお礼を言いたい気分であった。
もちろん、みなさん忙しそうだったのでそんなこともできないが。

 


そんな、僕の夏休みでした。
おそらく一生忘れられない、そして人生の価値観が確実に変わる体験となった。

 


長々とすいませんでした。
改めて、心配かけた方、申し訳ありませんでした。