キックボード旅人の日常

キックボード旅人による、旅の話とか日常のこと。

佐柳島と高見島旅 ~その4~

佐柳島での1日目が終わった、つづき。

 


2日目の朝は、午前6時に起床。
すぐさま防波堤へと向かったのは、日の出を見るためである。


すでに空は明るくなりつつあり、また防波堤には先客が2人いる。
先客の邪魔にならないよう距離を置き、ゆっくり昇る太陽を眺める。
秒単位で変化する太陽の大きさと空の明るさ、波の音と鳥のさえずりしか聞こえない静寂が何とも神聖である。

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しまった、朝食を持ってきてついでに食べたらよかった。
慌ててベッドに戻り、おにぎりとパンを持参して、再び朝の雰囲気を堪能する。
そういえば、以前は野宿旅をしながら、この光景を楽しんでいたなぁ。

 


しっかり服を着込んでいたのにめっきり体が冷えたので、シャワーで体を温めてから外出。
午前8時前に港へ着き、待合室で料金を支払うと、払った料金をのし袋で作った便せんに包んで渡される。
どうやらチケットではなく、こうして直接料金を船員さんに渡すシステムだそうな。

 

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船に乗り込み30分、到着したのはお隣の「高見島」。
港からは、南へ進むルート・北へ進むルートの他に、登山ルートがある。
特にどう周るかまったく決めていなかったので、港に設置された地図を見ながらゆっくり考える。
登山は朝早いうちからすることがセオリーかなぁ~?
と思い立ち、登山ルートを目指すことに。

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港から北へ少し歩くと登山ルートを記す看板があり、その側に「お助け杖」という竹でできた杖が備えられている。
坂を登って集落の奥へ進むと、さらに持参可能な登山マップまで用意されていてありがたい。
まだ登山道にも入っていない段階から勾配がきつく、体がほてって4枚着だったのにTシャツ1枚となる。

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そこから登山マップを頼りに登山道を探すが、地図がざっくりだし看板もないしで、わかりづらい。
これ登っていいんか、と思える細い山道を試しに進んでみると、どうやらそれが正解のよう。

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しかし、ここからが大変。
相変わらず登山道がわかりづらい。
そもそも、一本道として整備されておらず雑草や落葉もひどく、ただいたずらに山にもぐり混んでいる感覚にとらわれる。
たまに「●合目」「登山道」という小さな道標を見ては、胸をなでおろす。
そして何より勾配がきつく、汗ダクにもなるし、絶えず坂なので休憩もできない。

 

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ただただ不安感を抱きながら進んでいくと、坂の上から1組の夫婦とすれ違う。
よかった、今歩いているのが登山道であることと、この道の先にちゃんと頂上があることがわかるだけで、不安が一気に払拭される。

 


あとはひたすら、心を無にして進む。
すると右に折れる道を見つけ、行ってみると小さな石の祠がある。
これが登山地図にある「龍王宮」なのか。
他に何もない空間だが、妙に神聖に感じ、休憩がたらしばらくたたずむ。

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しばらくしてさらに坂を登ると、またしても道の分岐がある。
標識には「龍王宮」とあり、どうやら先ほどの祠は龍王宮ではなかったようだ。
ということで、本当の龍王宮へ。
こちらは木製の屋根付きの祠に、石の祠が2つ連なって祀られている。
鳥居の跡などもあり、昔はもっと島民が往来していたのかもしれない。

 

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道へ戻って少しすると、登り坂がおさまり、左手に広場のような空間がある。
よくよく見ると、低い石柱に「+」印がついた、いわゆる三角点が地味に設営されている。
ここが頂上なわけだが、景色も見ることができず、あまりに地味である。

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しかし少し奥へ進むと、展望台がある。
少し視界の狭さもあるが、登りの苦労が相まって、とてもきれいに感じる。

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そこから道は二手に分かれる。
ここからが、ようやく登山口で入手した地図が役立つ。
どちらのルートにも展望台があったりして悩むが、とりあえずすべての展望台を巡れるようなルートを選ぶ。


基本は下り坂なので、ラクである。
道にはイノシシが土を掘り起こした跡が無数にあり、怖い。
また、途中で石垣など人工物が多く見つかり、おそらくここが村か畑だったのだろうということがわかる。

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展望台はいくつもあり、展望台ごとに離島が見える。
近くの離島はいずれも訪問したことがあるので、過去の島旅の思い出に浸れる。

 

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長い山道を抜け、ようやく集落に到着してひと安心。
さて、次はどうしようかなと集落を歩いていたときに、声をかけられる。


つづく。