キックボード旅人の日常

キックボード旅人による、旅の話とか日常のこと。

佐柳島と高見島旅 ~その5~

高見島の集落で島民さんに声をかけられた、つづき。

 


島民さんは、70歳くらいだろうか?
実に社交的で、僕が大阪から来たこと、山を歩いていたことなどひととおり話を聞いてくれたうえで、
「よかったらウチ来る?」
と誘ってくれる。
時間はたっぷり余っているし、断る理由が見つからない。

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集落は立体的で、島民さんの家というのは坂の上にある。
すでに島民さんと出会った場所はやや高台にあり、島民さんは港から歩いてきたらしく息切れをしている。
にもかかわらず、わざわざ休憩することもなく、坂を登っていく。


申し訳ないながらも、歩きながらいろいろ話をしてくれる。
もともと島民だが今は週末にのみ通っているとか、昔は島で除虫菊の栽培がさかんだったとか、島民さんのお父さんは宮大工をしていたとか。

 


そうこうしているうちに案内された家に入るや、目に飛び込んできたのは博物館のような内装。
てっきり島民さんの住む家に案内されるのかと思いきや、そうではないらしい。
ここは、3年に1度開催される「瀬戸内国際芸術祭」(以下、セトゲイ)のときに、美術作品を展示していた家屋だそうな。
美術品も印象的だが、家屋自体の造りが立体的で見事である。

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「あと3軒あるから、案内しますよ」
と、立て続けに残りの3軒も案内してくれる。
途中、島民さんの知り合いだという子連れファミリーとも合流し、不思議なパーティ構成でぞろぞろと民家をすり抜ける。

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ちなみに、いずれの建物も施錠がされており、セトゲイ開催期間以外は基本的に非公開。
本当に特別に見せてくださったらしい。

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すべて巡った後は、最後に古民家を改装した休憩所に案内される。
そこには島の写真をたくさん飾った家屋と、土でできた島のリアルなレプリカがある。
先客が2人、70歳くらいのおじさんと、30代くらいの女性が日向ぼっこをしている。
厳密には、客ではなく、ここの古民家を手入れしている方らしい。
先ほどの島民さんにお礼を言い、この古民家で持参した昼食をいただく。

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先客の2人とは、たまにちらっと話をする程度ながら、缶コーヒーをおすそ分けしてくれたり気を使ってくださる。
「ゆっくりしてっていいからね」
との言葉どおり、食後もしばらく居座る。
ちょうど瀬戸大橋の全貌が眺められる、なかなかのビュースポットにもなっているのだ。

 


つづく。