キックボード旅人の日常

キックボード旅人による、旅の話とか日常のこと。

レンタしまなみ、ちょっと廃【前編】

何度も書いていることであるが。
旅の期待値を、何よりも増大してくれる乗り物がある。

フェリー。
まして、木曜日という中途半端な曜日の、夜行便に乗るなんて日常から逸脱しすぎて、より期待値が増す。


先週は、金曜日に有給をとり、木曜日の夜から「しまなみ海道」を渡ってきた。
しまなみ海道」とは、愛媛県今治市広島県尾道市の間にある複数の島を、橋で渡した道のことである。
ママチャリやキックボードで渡ったことはあったが、今回はレンタサイクルを使って渡ることにした。

思いつく限り、備忘録。


【フェリー】
四国行きの夜行フェリーは、何度も乗ったことがある。
たいがい連休前で人がごった返り、ロビーでザコ寝なんて光景がザラである。

それとはうって変わり、お客さんはガラガラ。
8人用の船室が貸し切り状態で使えるなんて、考えたこともなかった。
交通費と宿代あわせて6,000円ちょっと、さらに夜間移動できる時間の効率性をあわせると、これほどまでに使い勝手のよい旅ツールはない。


【レンタサイクル】
朝6時に港へ着き、バスで今治まで移動→朝食→バスを経て、サイクリングターミナルへ。
早速レンタサイクルを借りる。

本当は、今まで乗ったことないロードレーサーやらクロスバイクやらMTBやらを借りたかったのだが、あいにくすべて品切れ。
泣く泣く借りたママチャリは、相当な年期の入ったもので、こぐたびに異音がする。
パンクや故障にはすぐ対応してくれるとのことだが、ただただ不安。
それでも走るしかないので、3日分の荷物が詰まったリュックをくくりつけ、出発。


【馬島】
はじめに寄ったのは、馬島というごく小さな島。
橋からエレベータがあり、ほとんどの人はこの島はパスするほど、何もない場所である。

軽く島の周辺を散策してからは、フェリーでの寝不足を解消すべく、港でひと眠り。
人目をはばからず、青空の下でうたた寝ができるなんて、これ以上のぜいたくはない。


【小島】
馬島へ降りた理由は、そこから渡船で寄れる「小島」へ寄るため。
愛想のよい渡船のお兄ちゃんに迎えられ、小島へ。

馬島よりさらに小さなこの島には、かつて日露戦争時に築かれた要塞跡がある。
廃墟好きとして、どうしても立ち寄りたかったのである。

自然に囲まれた山道を歩くと、次から次へとレンガづくりの遺構が残る。
骨組みながらも、外観はとてもきれいな状態で残されている。
今までいくつかの要塞跡を見てきたが、ここがいちばんきれいである。

ただ、看板や道しるべがしっかり整備されているあたり、どうしても廃墟めぐりのドキドキ感は味わえない。
また、渡船のお兄ちゃんに「40分後に戻る」と言った割には意外に島の規模が大きく、すべてを見る時間がなかった。


【大島】
小島→馬島を経て、たどり着いたのは大島。
一直線に島を突っ切ることも可能なのだが、それではすぐに目的地へ着いてしまうので、まずは島をぐるっと周遊することに。

途中の「ローズ館」で昼食。
ご当地バーガーである「鯛バーガー」と、たこの唐揚げ定食をいただいたが、いずれもうまい!
へんぴな観光地なので、期待をしていなかっただけに、よけいにうれしい。

再出発後は、やたら坂が続く。
特に島の東側は、車も通らないくらい細くさびれた道で、この季節にして汗ダクである。


伯方島
メキシコの塩を使って作られる「伯方の塩」で有名な、伯方島
ここへ着いたころには、すでに夕日が沈む直前。
すべての島を一周しようと考えていたが、ここは迷わず一周を断念し、最短ルートを走る。


大三島
宿のある大三島へ到着したころ、あたりは真っ暗。
自転車のライドが壊れているという、道路交通上ありえないトラブルは、街頭のほとんどない田舎道では致命的。
路面もそう整備されておらず、苦肉の策として、スマホのライト機能で難をしのぐ。

それよりも、寒い!
寒さは大島で疲れきった体を確実にむしばむ。
休憩したくとも、止まればただ寒さが増すだけだし、再出発が辛いことは知っている。
ここは心を無にして、ただ走るしかないのだ。


【宿】
ようやく宿に着いたのは、午後7時過ぎ。
荷物を置くや、夕食をあさりに外を散策するも、周囲にある明かりは並列する3軒の宿のみ。
コンビニはおろか、喫茶店すら見つからないという有様。

隣の宿は2,000円の料理が用意できるとのことだが、さすがに高い。
もう1つ隣の宿は、食堂が貸し切り。
仕方なく、泊まる宿の食堂へ。

宿が夕食どきでバタバタしていたことから、オーダー聞きに待たされる。
こんなことになるなら、はじめから素泊まりではなく、夕食をつけておけばよかった。

夕食は意外にも安く、そしてうまい!
ビールも大ジョッキで650円と、安い!
さっきまでの暗闇での地獄との落差がはげしく、ついつい日本酒にまで手を出す始末。

案の定、日本酒がガツンときいて、風呂上がりは荷物の片づけをする気力もなく、すぐさまダウン。


ただただ、誤算ばかりが重なる1日目は終了。
しかしながら、とても充実した1日でもあった。