キックボード旅人の日常

キックボード旅人による、旅の話とか日常のこと。

蹴って登って山メシ

ごくたまにであるが、台所に立つことがある。
しかし、今日のように朝から作業するということは、まれではないだろうか。


3連休も、さすがに家にこもりっぱなしでは、息が詰まる。
最終日は天気もよさそうなので、ここは何としてでも、外出しなければ。
最近ジワジワと太りぎみなので、体を動かすことがしたい。

という自身の欲求に身を任せていたら、地元の山を登るというプランが、自然に浮かんできた。
ただ登るというのもいいのだが、どうせならもうひと工夫がほしい。
そこで思いついたのが、「山めし」。
いわゆる、外での自炊行為である。

前日に、山めしが紹介されているサイトをざっと見て、だいたいの料理プランを構想。
レシピをメモらず、あくまでフィーリングで材料を検討するあたりは、相当な腕ききか、ただのズボラ。
当然、後者なわけであるが。


朝から、冷蔵後にある食材を切る。
本来なら、山で食材を切るところからはじめるのが通なのだろうが、1人分なのにそこまで本格化しなくても。
母親というすばらしいアドバイザーがいたので、ズボラなレシピも具体化していく。

で、向かう先は、地元のハイキングコース。
電車を使わず、すぐに登山ができるなんて、今さらながら何て恵まれた場所に住んでいるのだろうか。

いくつか登山口があるなかでも、比較的家から遠めの、私市駅へ。
ここでもうひとアイデアとして、登山口まではキックボードで向かう。
未舗装路までの道は極力早めに通過したいし、登山中は折りたたんで持ち運べるし、なかなか理にかなったツールである。


さて、いよいよ登山口。
第一印象が、「なつかしい」というもの。
というのも、このハイキングコースは、学生のころに遠足やら子ども会やらで、かなり歩かされているのだ。
最後に登ったのが20年ほど前で、すっかり記憶からリセットされていると思いきや、断片的ながら風景は覚えているものだ。

まずは、川沿いの道。
傾斜もゆるく、歩きやすい。
この山では岩と滝が崇拝されているらしく、確かに岩が多いし、滝も数箇所ある。


気持ちいい!
上り坂が続くのでしんどいはずなのに、運動量の割には、あまり疲れを感じない。
そして何より、気分がいい。
自転車やキックボードでひとり旅をしているときは、どちらかといえば心のスミにあるストレスが増幅され、ネガティブな考えを抱きがち。
しかしながら、むしろいろんなことがポジティブに考えられるのだ。


1時間後、山小屋のような休憩所がある場所へ到着。
休憩するには、時間的・距離的にちょうどよい場所である。
が、工事車両が入っていたり、やや開拓された感があり、ここで休憩する気分になれない。

ということで、歩き続けることに。
しばらく行ったところに、「草原広場」なる場所がある。
こんなところ、昔あったっけ?
名前のとおり、芝生の広がる広場があり、その真ん中に要塞のように、アスレチックがそびえたつ。

ちょうど時間も、正午ごろ。
空腹感はあまりないが、調理している間におかなもすくだろう。
リュックを降ろし、食材を出し、調理具を出す。


あれっ?
いやいや。
うわっ!

まさかまさかの、忘れ物。
ガスがない。
ガスがないことには、料理ができない。

何のために山登ってきたんや。
ここにきて、一気に気分がネガティブに。

こうなっては、休憩どころではない。
すぐさま荷物を積めなおし、下山するべく、先へ進む。
とにかく空腹感に襲われる前に、帰りたい。

そこからの道は、細い道。
両側は谷になっており、適度なスリルと、山の中におる!という実感と、個人的にこんな登山道はここ以外知らないという、何ともステキな風景が続く。
にもかかわらず、そんなステキな場所を、早足で歩いていることが、ただただ残念。


獅子窟寺という場所で下山したのは、午後1時。
正味、山の中には2時間しかいかなったこととなる。
にもかかわらず、えらい長時間山にいた気分。

帰宅後は、くやしいのでわざわざ山へ持参していた調理具を使って料理をする。
野菜やきのこ類をざく切りにし、ウィンナーとともに、鍋へ。
そこに、トマトジュースと水を半々の分量入れ、加熱。
ゆであがってきたところに、コンソメを投入。

という、ほとんど手間のかからないもの。
で、こいつがまた、クソうまい!
おそるべしである、コンソメという調味料は。

こんな簡単でこれだけおいしいのなら、これからもいろいろ作ってみたいと思う。
と同時に、山で食べられたらさらにおいしかったろうなぁ、という後悔が。


山、おもしろい!
特にこの地元のコースは道のバリエーション豊かで、めちゃくちゃ楽しい。
これはぜひとも、地元仲間などをふまえ、登山レクして楽しみたいものである。汣