キックボード旅人の日常

キックボード旅人による、旅の話とか日常のこと。

Metal Shock Vol.34

はじめは、目を疑った。
ほんの一時期的な、きまぐれなのだろうと思った。
しかし、その発言が撤回されることはなかった。

「Metal Shockは解散します」

2ヶ月に1度、ひたすら爆音でメタルを流し、みんなで暴れるというDJイベント。
その開催が、今回をもって最終回だというのだ。
最近予定が重なっており、ようやく久しぶりに足を運べると思った矢先のできごとであった。


いつもどおり、開始直前にお店に入る。
最終回なので人でごった返しているかと思いきや、意外にも人数が少ない。
どうやら、別の場所でライブ等が重なっていたようだ。
でも、これがいつもの光景である。

やはり、メタルは爆音で聴くと心地よい。
爆音だと、ふだん家で聴くより、ベース音などがはっきり聴きとれるのだな、と今さらながら気がつく。
そう聴き入っていると、いつしか人が増えている。
これも、いつもの光景である。

時間が経つにつれ、イベントが「最終回」であることも、いつしか忘れてしまう。
最終回だからといって、選曲が特別変わるでもなく、特別なことをするでもない。
ただ会場に広がるのは、いつもの光景である。


とはいえ、自分の中では、「最終回」を意識していた部分もある。
もともと3時間半のイベントが今年に入り1時間延長されたとき、正直ちょっと長いと感じた。
どうしても、途中で体力がもたなくなったのだ。
にもかかわらず、今回に至っては、バテることまで最後まで参加できた。

解散の理由は、結局最後まで明かされることはなかった。
誰もが気になる部分である。
が、逆に理由は知らないほうがいいのではないだろうか。
理由を聞いたからといって、イベントが再開されるわけでもないし、もしかすると耳をふさぎたくなることなのかも知れない。

主催者のお2人は、今後とも個別に活動し、お互い別の場所でまたDJを続けるのだそうな。
もちろん、それぞれのイベントも参加したいな、とは思う。
が、やはりMetal Shockの独特な雰囲気が居心地がよく、好きであった。

Metal Shockの常連さんたちの顔は、だいたい覚えている。
にもかかわらず、ほとんど言葉を交わしたことはない。
これは、メタルという音楽は好きであるが、知識がともなっていないため、会話が続かないのでは、という僕自身の意識が強い。
なので、ひとりでしっぽり暴れるというスタイルをとっていたのだが、それを容認し受け入れてくれていた。


それにしても、5年間ずっと続いていたというのだから、すごい。
ただ会場をおさえるだけでなく、ライブ会場などでのフライヤー配り等の広報活動をまめにしていたのだ。
やがて、常時30人以上の参加者を集め、多くのバンドからも信頼を得たことは、お2人の並々ならぬ努力の結晶である。
趣味を持たない大人が増える昨今、ここまで趣味を追求し、こんな大きな成果を出せる人なんて、そうそういるものではない。

今まで、ありがとうございました。

と締めくくりたいところであるが、いちMetal Shockファンとしては、まだ継続してほしい。
継続できずとも、不定期的であっても、「Metal Shock」という名のもとで、また開催してほしい。
主催者側の都合を無視した、非常に利己的で無礼な発言かも知れないが、これが僕の本音である。
僕にとって、DJイベントでこれ以上に楽しめる場所は、ないだろうから。