キックボード旅人の日常

キックボード旅人による、旅の話とか日常のこと。

町家訪問

時間を止める、ということ。
それが、必ずしも不可能ではないのでは、と思えるときがある。


土曜日は、大阪は昭和町という街を訪問。
久しぶりに寄席を見に行こうと、あつし君や他の仲間を誘った。

地下鉄の駅から地上へ上るや、そこは大きな道路が交差している。
道路沿いにはお店が並び、見た目にもにぎやかな場所である。

そこから一本路地裏に入ったとたん、目を疑う。
時空の壁を越えでもしたのか、と思えるほど。
そこには、先ほどまでとの風景とは一変、町家と長屋のある、時代錯誤の光景がある。


寄席は、その町家で行われている。
門をくぐるや、そこではまわりのビルの景色が消える。
純和風の広間からは、しっかり手入れされた庭が見え、ますます別世界を感じる。
本当にここは、大阪市内にある空間なのか?

雰囲気もさながら、舞台、いわゆる「高座」との距離の近さにも驚く。
とにかく、すぐにでも手が届くほど近い。

人口密度も、高い。
広間といっても、10畳ほどの広さである。
「舞台を見に来た」というよりは、「親戚が集まって会合する」ような雰囲気である。


で、寄席開始。
落語家さんは、ベテランの桂文太さんと、若手の方1名、朗読の方1名。
1つずつ感想を書くと長くなりそうなので、割愛する。

が、いずれの方のお話も、話の世界に取り込まれるというか、ついつい聞き入ってしまう。
ひとりの方が座りながら話をしているだけなのに、そこには複数の登場人物と、風景と、小道具が広がる。
本当に、楽しい。


以前「動楽亭」という場所で見に行ったときは演者が多く、笑いの要素の多い話が多かった。
だからといって今回が退屈だったわけでなく、じゅうぶん有意義な時間を過ごせた。

こんな楽しいものを、たまにしか行かないというのは、実にもったいない。
時間が空いていれば、もっと足を運ぶようにしたものである。