キックボード旅人の日常

キックボード旅人による、旅の話とか日常のこと。

佐柳島と高見島旅 ~その3~

1日目の旅が終わり、宿泊施設へ足を運んだ、つづき。

 


宿の名前は「ネコノシマホステル」。
廃校を改装したホステルで、外装・内装とも学校の雰囲気を残しつつ、おしゃれなカフェさながらの雰囲気を醸している。

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チェックイン後すぐシャワーを浴びてから、宿のすぐ前の防波堤でたたずむ。
宿は島の東側にあるため、残念ながら夕日を拝むことはできない。
しかしながら、海やその先にある島々といった非日常な光景が、徐々に暗くなるさまは見ていて飽きない。

 


午後7時、夕食をいただくべく喫茶室へ。
タコのお造りやタコ飯、野菜の甘辛煮など、島の家庭料理が1,000円でいただけて割安感を覚える。
食後、ドミトリーのベッド以外でくつろぐ場所がないので、日記を書くなどして時間ギリギリまで居座る。

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そしてお会計をするのだが、ここで勇気を出して、宿主さんに声をかけた。
「きのう会社の人とこの宿に来る話をしてたんですが、ご主人さんらと知り合いみたいなんですよ」


そう、前日に会社の人に知らされていたことなのだ。
それを伝えることが1つのミッションとなっていたのだが、どのタイミングでどう声をかけるか、僕の中でプレッシャーとなっていた。


そんな心配も何のその、会社の人の名前を出すと、めちゃくちゃ機嫌よく話をしてくれた。
会社の人との話もそうだが、ご主人たちがこのホステルを建てるまでの苦労話も。
改装には四国の工務店の人にお願いしていたが、いかんせん船の便数が少ないため、クギが1本足りないだけでその日は何も進まない、なんてこともあったとか。
また、宿泊や飲食の商売は未経験なので、今でも手探りで営業を続けている、との苦労話も。

 


楽しい会話を終え、喫茶室を出ると、身震いがする。
どうやら食前に防波堤で長居したことで、湯冷めしたらしい。
もう一度シャワーを浴び、体を温めて午後10時に就寝。

 


つづく。

佐柳島と高見島旅 ~その2~

佐柳島に上陸し、猫の手厚い歓迎を受けた、つづき。

 


島の猫と戯れる客たちをすり抜け、島の南の集落「本浦」へと進む。
素朴な集落を進んで立ち寄ったのは、お墓に囲まれるようにたたずむ乗蓮寺
お寺はきれいに手入れされており、お堂には立派なエンマ様が祀られている。
歴史を感じながらも圧倒的な存在感は、国宝になっても不思議ではないと感じる。

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お寺から続く墓地は、南を進むに連れ小さな墓が並ぶ。
これは塩飽諸島ではよく見られる「埋め墓」と呼ばれるもの。
死体を埋める「埋め墓」とお参りをする「参り墓」の2つを用意するという、「両墓制」というシステムによるものだ。

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墓地で道は途絶えるが、海岸に降りてすぐ南に「くじら岩」がある。
くじらには見えないながらも、独特な形状の一枚岩はインパクトがある。
港に降りてから歩きっぱなしだったので、岩の上で腰を下ろしてお茶を沸かし、休憩をする。

 

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一服が終わると集落の細い路地を抜け、神社の参道を登る。
参道入口には「イノシシ出没につき参道立ち入り禁止」の看板がいくつも建っているのだが、バリケードはされていない。
マナー違反を覚悟で、先へ進む。

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参道はやや荒れてはいるが意外にも手入れされており、本当に立ち入り禁止なのかがあやしい。
石段は長く続き、体力が削られる。
島に到着してからずっと風が吹いて寒かったが、ある程度登ったところで風がやむ。
さっきまでパーカーとダウンジャケットを着込んでいたが、いつしかTシャツ1枚になる。

 

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ようやく鳥居が見え、門をくぐった先に「大天狗神社」の本殿がある。
長い石段を登ったという達成感もあるとは思うのだが、門をくぐったあたりから、神秘的というか神聖というか、独特な雰囲気を感じる。

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本殿から左に進むと、岩を削って作られた「天狗様」がある。
見た目こそややマンガちっくながら、よくよく見ると胴体や脚など服にあたる部分はほぼ加工されておらず、うまく仕上がっているなと感じる。

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さらに上り坂が続き、しばらく登ってはみたが、やがて道が薮に閉ざされてしまう。
後で調べると、その先に奥の院があるらしい。


石段を下る最中、野良仕事をしている島民さんに声をかけられる。
「上からの景色きれいやったやろ」
どうやら、参道から島の景色を見下ろせるよう、島民さんが道や周囲をしっかり整備しているそうだ。
その上で、神社を立ち入り禁止にしていることには、かなりご立腹の様子。
「何がイノシシやねん、役所のバカが」と言い捨てていた。

 


そこから進路を北へ。
相変わらず猫は多く、あちこちで猫の集団を見かける。

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いったん建物が途切れ、しばらく歩いたところに突如現れるのが、学校の校舎。
といっても、ここは廃校である。
そして、今晩の宿でもある。

 

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つづく。

佐柳島と高見島旅 ~その1~

息の詰まるような思いで仕事をしている、ここ1か月。
さすがにどこかでリフレッシュがしたい。
3月にある3連休、仕事疲れもありややためらいもあったが、思い切って旅に出ることにした。


行き先を決めたのは休みの2日前。
楽天トラベルを見てみると、たまたま離島で泊まれるホステルを見つけた。
ほとんど予備知識もなく、ひらめきに近い形で行き先に決めたのは、「佐柳(さなぎ)島」。
隣に「高見島」という島もあり、島2つ巡れば3日はじゅうぶん楽しめるとの判断で、決定した。

 


さて1日目。
家を出たのは、午前9時半ごろ。
あまりに遅い出発時間は、ひとえに船便が少ないための調整である。
これでも、1時間は前倒しなのである。


港のある多度津に到着したのは、午後12時半。
船の時間は午後2時なので、たっぷり時間がある。
ということで、歩いて30分近くするうどん屋へ向かう。


「根ッ子うどん」はセルフ形式で、店内が温室という特徴的なたたずまい。
しっかり硬さと弾力のある麺は、わざわざ30分かけて歩いた価値がある。

 

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食後はスーパーへ寄って食料の買い出しをし、港へ到着するとちょうど出港前。


相変わらず船というのは、テンションがあがる。
風が冷たく寒いというのに、乗船後は甲板に出て景色を眺める。
今回、張り切って持ってきた双眼鏡で近くの島を見ると、臨場感が楽しめる一方で、船酔いしそうになる。

 

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そして午後3時、佐柳島へ到着。
「猫の島」との異名のとおり、港にはすでに多くの猫が居座っている。
写真を撮ろうとしゃがむと、タタタっと駆け寄ってきて、膝の上にちょこんと座ってくる。
猫にこんなになつかれたのは、はじめてのことである。


猫は嫌いなんだけどな・・・

 

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つづく。

島充電、島充填

島から戻ってまいりました。
今回は佐柳(さなぎ)島というところを拠点とし、お隣の高見島にも寄りました。


船便の都合上、3連休のうち島にいたのが48時間もないというのが残念。
43時間かな?
それでも長い時間を過ごせたと感じるのは、島の時間がゆっくり流れるから。


そういえば、島で宿泊することって意外に少ない気がする。
そういう意味でも、宿に泊まったことは大きかったかな?


毎日の日記は箇条書きで手書きして残したが、もう文字がびっしり!
これをホームページに掲載するか、ここのブログに書くか悩ましいところだ。
あと写真も、いつもの倍くらい撮ってるから、選定が大変かも。


なぜそんなに撮ったかとか、巨匠との約束を果たせたのかは、また明日以降の日記に記そうと思う。
長くなりそうだな~、なるべく短く伝えたいな。

旅準備準備

最近ちょっと、自分の部屋でダラダラと過ごすことが多い。
動画編集とか、Webページの刷新とか、やることはあるのに気力がわかない。
気力がわかないのにムリする必要はない、などと自分を甘やかせていたが、さすがに時間がもったいなく感じ、少し何か動こうとしている。


その一環で始めているのは、動画編集でもWebページの刷新でもない。
GWに向けた旅の計画だ。


いやあ、やはり旅の計画は楽しい!
去年あたりに、旅の計画自体が自分の趣味の一環なんだということに気がついた。
旅といっても、ひとり旅に限らず他の仲間と行く旅も含めて。


それならいっそ、いつでも旅立てるように旅の計画をストックしてみてはどうだろう?
と常々考えるのだが、計画をするとすぐさま行きたくなってしまうので、ストックする前に旅立ってしまってストックできない。
また、計画には時間がかかるぶん思い入れの念が湧くので、計画後に時間が経つとそれが薄れそうなので、やはりストックできない。


なんてことを考えつつ、取り急ぎGWの計画に専念しよう。
あっ、3月に3連休あるんで、そこも何か考えてみてもいいかもな。
コロナが怖いけどな。

暖冬実感!野沢温泉 ~その3~

スキーを終え、食事も終わったつづき。

 


部屋に戻るや、すぐさま飲み会が始まる。
テーブルには、まぁ並ぶ並ぶ、日本酒たち。
しかもほとんどが大吟醸酒で、普通にお店で1杯ずついただいても、5,000円はとられて不思議でないシロモノである。

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ビールから徐々にペースアップしていこうかな、と思っていたが、いきなりみんな日本酒を飲み始めたものだから、そのペースにのまれて日本酒ばかりいただく。
この会では途中でイッキ大会が始まるのが常であるが、主な仕掛け人であるあつし君は不在、もう1人の仕掛け人IT君(仮称)は子守りで参加が遅れ、しっぽりとした飲み会に。
さすがにイッキできる年齢でもなく、イッキが始まれば迷わず外へ逃げる気だったので、これは本当に助かった。


で、僕としてはがっつり輪に入りきれずだが、かといって完全孤立していたわけでなく。
ほどよい距離を保っていた・・・のかな?
正直なところ、寝不足がたたってグッタリとしていた。


それでも輪に入っては離脱を繰り返し、いよいよ午後11時にダウン。
何でみんな、そんなに元気なん?

 


翌日は午前7時半に起き、朝食をいただいてからは自由時間。
朝風呂に入る気満々だった僕は、誰となく「風呂行こ~」と声をかけ、A先生(仮称)とIMさん(仮称)と3人で外湯へ。
相変わらずアホほど熱いお湯に四苦八苦しながら、30分ほど楽しむ。


そこからは、さらに3人で行動。
今まで行ったことなかった「麻釜(おがま)」という源泉と、「湯沢神社」へ足を運ぶ。
麻釜近くにあるお土産屋は、接客するおかあさん達が社交的で楽しく、お茶をいただきながらゆったりとしたひとときを過ごす。

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さらには、宿近くのお土産屋を物色。
前回ゆっくりじっくり見たつもりだが、いくら見ても飽きないのは、その圧倒的な商品点数によるものだろう。

 


何だかんだで午前11時半、宿を出て、昼食はからあげに定評のある食堂へ。
しっかりしたボリュームのからあげ定食をいただいてからは、ひたすら帰路。
長時間の運転だというのに、終始元気に話しながら運転する青ちゃんにはただただ脱帽である。
結局、家に着いたのは午後8時半。

 

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「あっという間だったね」と口にするメンバーが複数いたが、個人的にはあっという間ともとれるし、長い時間にもとれる、不思議な時間感覚に襲われた。
やはり朝が早すぎることによる、非日常的な時間を過ごしたためだろう。

 


また来年も、という気持ちも当然あるのだが、正直なところ早起きと長時間移動が、年齢的にもキツく感じてきた。
来年以降参加するなら、このあたり解決できないものか考えたい。

暖冬実感!野沢温泉 ~その2~

例年よりスローペースでゲレンデに到着した、野沢温泉のつづき。

 


いつもは一団となって滑るのだが、今回は4グループくらいに別れて滑ることになった。
雪質はやや滑りが悪く、やはり暖冬の影響を感じずにはいられない。
そして何より、暑い!
あらかじめ薄着をしてきたが、少しすべると軽く汗ばむほど暑くなる。

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しかし、これが頂上へ近づくにつれ一変。
強風も相まって、急激に寒くなる。
せめてフェイスガードぐらい、かさばるものでもないのに持参するべきだったなぁ~、とここにきて後悔する。


頂上に着いたころには、思いっきり濃霧。
これも下界との温度差によるものか。
まぁ、個人的にはスピード出して走るタイプではないので、あまり影響はないのだが。

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個人的な滑りの感想としては、例年以上に滑れていないことを感じる。
かつて、自分なりの「理想の滑り」があり、それを目指していた。
が、その気持ちが年々薄れており、今年にいたってはもう、「滑ればいいや」という感覚になっていた。

 

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最後のひと滑りのときに、上級コースへ差しかかった。
うまく滑る自身がまったくないので、めちゃくちゃスローで滑る。
すると、目の前でスキーヤーが転倒し、板とストックを置き去りに、ズルッズルと体ごと滑り落ちていく。
しまいにはそのままコースアウトと、マンガのような光景を目の当たりにする。
こちらも大変であるが、これはフォローしなければと、板とストックを拾い上げ、その人のところまで届ける。


相手は恰幅のよい外人さん。
新雪に足をとられてもがいており、大丈夫か声をかけるも「OK! Thank you!」と何事もないような口ぶりをする。
手を差し伸べようにも、僕も新雪まで行くと二次災害になりかねないし、ゲレンデの下では他のメンバーも待っている。
とりあえずメンバーの元へ行くも、相変わらず外人さんがもがいている。


僕以外の2人のメンバーが、外人さんの元へ行って声をかける。
その流暢な英語に、もう劣等感しか感じられない。
結局、外人さんは「大丈夫だ」というスタンスを変えず、2人がレスキューを呼ぼうかと提案しても「大丈夫だ」としか返さないので、そのままスルーすることにした。
最終的にどうなったのか、そこまで面倒は見られない。

 


下山し、宿についたのが午後5時。
風呂に入ってから、すぐに夕食。
夕食でビールに手を出さないのは、部屋にしこたまお酒を用意しているからである。

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つづく。