キックボード旅人の日常

キックボード旅人による、旅の話とか日常のこと。

地元ひとり花見(ノンアル)

先週のお話。

 


3月末の休日は、地元仲間と地元で花見をするはずだった。
ここ数年、すっかり恒例行事になっていた。
しかしそれが中止になったことは、言わずもがな。


でも桜を見られる期間は短く、アウトドア好きとしては逃したくない。
ということで、1人でも花見をしてやろうと、中止が決まったときから決めていた。


土曜日は雨なので、当然できない。
日曜日は晴れてはいるが、朝から寒い。
何なら東京では積雪があるほどの寒波が来ているとのことで、すっかり心が折れる


しかし正午を過ぎた段階で、外は快晴。
風は冷たくもあるが、外出できないほどではない。
よし、やろう!
飲酒は控えて、準備も最小限にし、すぐさま外出することにした。

 


いつもの桜並木に到着すると、花は七分咲きできれい。
いつもと違うのが、花見客がいないのと、屋台が出ていないこと。
ある意味シュールに見えながらも、純粋に美しい光景を眺めて、来てよかったと実感する。

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1人用の銀マットをしき、ワンバーナーでお湯をわかして昼食を準備する。
即席ながらも、何かしらアウトドア飯を試みてみた。

 


まずは「スパイスカレー風チーズカレーヌードル」。
カレーヌードルにとろけるチーズを入れ、その上からクミン・コリアンダー・チリペッパー・ウコン・ガラムマサラをぶっかける。

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結果としては、チーズのみが正解。
わざわざぶっかけたスパイスの味が、いまひとつ伝わらない。
そもそもカレーヌードルが濃い味なので、それ以上に味が化けないのだ。

 

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次に「ランチパックツナ チーズのせ」。
ランチパックを炙り、上にとろけるチーズを乗せるという単純なもの。


これはうまい!
ランチパックの表面のサクサク感が絶妙だし、チーズにあう。
しいて言えばチーズが後乗せなのでやや冷たさが残っていたので、上から炙るなどしたいところである。

 


そして「ランチパックピーナツ シナモンシュガーかけ」。
こちらもランチパックを炙り、上からシナモンシュガーをぶっかけたもの。


こちらもうまい!
味はもう想像どおりだが、中のピーナツクリームのとろけ具合が新鮮だ。
ただ、とろけすぎて3口めくらいからこぼれてしまいがちなので、食べ方がやや難しい。

 

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すっかり腹を満たしてからは、お茶をわかしてほっこり桜を見学。
いや、空がくもりはじめて寒くなり、あまりほっこりとはならない。


桜並木には、絶えず人が往来する。
ひとりで花見をしている光景はシュールに見えるのか、視線が刺さる刺さる。
「ひとりで花見は楽しくないでしょ」と、満面の笑みで声をかけてくるおじさんもいるほど。
まぁ、楽しくないといえばウソになるが、ひとりでアウトドアをすることは日常なので、それなりに満足はしている。

 


空は太陽が顔を出すわけでなく、むしろ雲が厚くなり、風も出始める。
持参した寝袋もかぶって粘ってみたが、純粋に桜を楽しめていないことに気がつき、滞在1時間ちょっとで退散することになった。
ほんの短い時間であったが、体感的にはそこそこ長く感じたし、何より桜を楽しめたのでよかった。

 


今週もやってみたいなぁ、と思いつつ、これだけコロナが騒がれているご時世、どこまでやっていいものなのか。
1人で外でランチという感覚ならアリだとは思うのだが、それもイカンのかなぁ。

佐柳島と高見島旅 ~その7~

長々とした日記になってすいません。
旅の3日目。

 


相変わらず朝日を見るべく、午前5時45分に起床。
ドミトリーなので早朝に目覚ましをかけるわけにはいかないので、寝る前から自己暗示をかけて気合で起きた。


昨日の反省を生かし、手には朝食を持参。
防波堤に向かうと、1匹の猫がついて来る。
防波堤に座ったとたん、僕のふとももにチョコンと座ってくる。

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いや、わかってるよ。
エサがもらえると思ってるんでしょ?
相変わらず動物がニガテなので、特に頭をなでるでもなく、むしろ極力驚かさないよう静止に気をつかう。
ただ、徐々にかわいらしく感じてくるのも正直なところだ。


空は残念ながら、くもっている。
日が昇ってきても、丸くはない。
これはこれで幻想的な雰囲気ではある。

 

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帰りの船が午前10時なので、そこそこ明るくなってすぐに出発。
今日はがっつり、島の北にある集落「長崎」へ。


歩いて10分、港について足が止まる。
「”新型コロナ”予防のため当分の間、集落への立ち入りをご遠慮下さい」
という張り紙がある。
コロナから逃げて離島へ来たつもりが、まさかこんなところにまで影響が及んでいるとは。

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張り紙もあるが、とりあえず進んでみる。
通り過ぎる島民さんは普通にあいさつをしてくれ、張り紙は枕詞みたいなものだったのかな?
と思っていた矢先のこと。


突然、勢いよくこちらに向かってくるおじいちゃん。
「港の張り紙読んでへんのか!」
と、集落から立ち去るよう注意される。


まぁ僕が悪いのだが、その後あまりに言葉が汚く、ついつい口ゲンカになった。
ええ、もちろん僕が悪いんですけどね。
それでも、やはり人に使っていい言葉とそうでないものはあるんで。

 


イライラした気分を抱えつつ、いったん宿に戻り、ベッドに寝転びクールダウン。
少し落ち着いてからは、帰り支度をして宿を出る。


1時間半も時間が余っている。
仕方がないので、「本浦」の集落を再訪する。
意外なことに、訪れる時間が違うだけで景色もやや違って見える。


2日前に寄らなかった小さな路地裏を巡ったり、猫を撮影したりしているうちに、無駄なく時間をつぶすことができた。

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船が出る直前、わざわざ宿の人が見送りに来てくれた。
こういった心遣いというのは、本当にうれしい。

 

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そんな感じで、充実した3日間が終了した。
初日が島に夕方入り、3日目が午前中に島を出たので、実質の滞在時間は短い。
にもかかわらず、がっつり3日分楽しんだ気分になれるのは、島で流れる時間がゆっくりだからであろう。


3日目にあったとおり、このご時世は自身がコロナを広げる可能性があるので、あまりひんぱんに島巡りをするわけにはいかない。
早くコロナがなくなり、気楽に島に行けるようになりたいものである。

 


おわり!

佐柳島と高見島旅 ~その6~

高見島の休憩所でゆっくり過ごした、つづき。

 


休憩所を去ってからは海沿いの道まで下り、島の北へと進む。
港から遠ざかるに従い、どんどん建物もなくなる。
何もない道の傍らに、時おり鎮座しているのが石仏。


どうやらこの高見島にも、88箇所の島遍路が根付いているようだ。
ただし、石仏に掘られている数字はほとんど確認できないし、足場だけ残って石仏がなかったりして、完全に整備はされていないようだ。
それでも、島遍路好きとしてはおのずとテンションも高まる。

 

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30分ほど歩いたところで、道は行き止まりに。
その少し手前に石段があったので、登るとそこには廃村「板持集落」がある。
登りが続く一本道を進むと、たまに横道が出ていて、その先に家屋が残る。
ただ、ほとんどの家屋は荒廃がひどく、生活臭がほとんど消えてしまっている。
完全に手入れもされていない状態ながら、しっかり道を歩いて進める状態になっているあたり、何かしら人が往来していることがわかる。

 

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続いて進路を南へ。
港を越え、集落を抜けると、北と同じく何もない道の脇に石仏が並ぶ。
北よりも数が多いうえ、ものすごくきれいな石仏も点在する。

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途中にある石碑を見てしったのだが、どうやら令和元年に「高見島88箇所」の整備のため、石仏をたくさん設置したようだ。
ただ新しい石仏には、数字が打たれていない。
もう付番は諦め、数を88個に近づけようという寸法のようだ。
島遍路の文化が風化していく場所もあるなか、こうして令和のご時世に継続する流れがあることはうれしい。


石仏を1体ずつ詣り、行き止まりの西浦大師堂に到着。
そこから折り返して港に着いたころ、ちょうど船が着く時間だった。
だいぶ時間が余るかもと思っていたが、がっつり時間いっぱい高見島を堪能できた。

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佐柳島に再上陸し、まっすぐ宿に帰っても時間が余るので、海辺に出てお茶をわかしてたたずむ。
徐々に暗くなっていく変化を楽しむのは、夕方でも明け方でもいいものである。

 


宿に帰ってからは夕食。
食後は、昨夜と同じく宿の人とおしゃべりをした。
話題は主に、離島について。
僕が過去に行った島の話をしたり、東京で離島のイベントがあるという情報をいただいたり。
あと宿のオーナー夫人が、いろんな離島に行きたいのに宿があるから行けず、隣の島すら上陸したことがないとなげいていた。
離島生活にはあこがれるが、こううした現実を聞くとちょっと考えてしまう。

 

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こうして、2日目も楽しく終了した。
つづく。

佐柳島と高見島旅 ~その5~

高見島の集落で島民さんに声をかけられた、つづき。

 


島民さんは、70歳くらいだろうか?
実に社交的で、僕が大阪から来たこと、山を歩いていたことなどひととおり話を聞いてくれたうえで、
「よかったらウチ来る?」
と誘ってくれる。
時間はたっぷり余っているし、断る理由が見つからない。

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集落は立体的で、島民さんの家というのは坂の上にある。
すでに島民さんと出会った場所はやや高台にあり、島民さんは港から歩いてきたらしく息切れをしている。
にもかかわらず、わざわざ休憩することもなく、坂を登っていく。


申し訳ないながらも、歩きながらいろいろ話をしてくれる。
もともと島民だが今は週末にのみ通っているとか、昔は島で除虫菊の栽培がさかんだったとか、島民さんのお父さんは宮大工をしていたとか。

 


そうこうしているうちに案内された家に入るや、目に飛び込んできたのは博物館のような内装。
てっきり島民さんの住む家に案内されるのかと思いきや、そうではないらしい。
ここは、3年に1度開催される「瀬戸内国際芸術祭」(以下、セトゲイ)のときに、美術作品を展示していた家屋だそうな。
美術品も印象的だが、家屋自体の造りが立体的で見事である。

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「あと3軒あるから、案内しますよ」
と、立て続けに残りの3軒も案内してくれる。
途中、島民さんの知り合いだという子連れファミリーとも合流し、不思議なパーティ構成でぞろぞろと民家をすり抜ける。

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ちなみに、いずれの建物も施錠がされており、セトゲイ開催期間以外は基本的に非公開。
本当に特別に見せてくださったらしい。

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すべて巡った後は、最後に古民家を改装した休憩所に案内される。
そこには島の写真をたくさん飾った家屋と、土でできた島のリアルなレプリカがある。
先客が2人、70歳くらいのおじさんと、30代くらいの女性が日向ぼっこをしている。
厳密には、客ではなく、ここの古民家を手入れしている方らしい。
先ほどの島民さんにお礼を言い、この古民家で持参した昼食をいただく。

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先客の2人とは、たまにちらっと話をする程度ながら、缶コーヒーをおすそ分けしてくれたり気を使ってくださる。
「ゆっくりしてっていいからね」
との言葉どおり、食後もしばらく居座る。
ちょうど瀬戸大橋の全貌が眺められる、なかなかのビュースポットにもなっているのだ。

 


つづく。

佐柳島と高見島旅 ~その4~

佐柳島での1日目が終わった、つづき。

 


2日目の朝は、午前6時に起床。
すぐさま防波堤へと向かったのは、日の出を見るためである。


すでに空は明るくなりつつあり、また防波堤には先客が2人いる。
先客の邪魔にならないよう距離を置き、ゆっくり昇る太陽を眺める。
秒単位で変化する太陽の大きさと空の明るさ、波の音と鳥のさえずりしか聞こえない静寂が何とも神聖である。

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しまった、朝食を持ってきてついでに食べたらよかった。
慌ててベッドに戻り、おにぎりとパンを持参して、再び朝の雰囲気を堪能する。
そういえば、以前は野宿旅をしながら、この光景を楽しんでいたなぁ。

 


しっかり服を着込んでいたのにめっきり体が冷えたので、シャワーで体を温めてから外出。
午前8時前に港へ着き、待合室で料金を支払うと、払った料金をのし袋で作った便せんに包んで渡される。
どうやらチケットではなく、こうして直接料金を船員さんに渡すシステムだそうな。

 

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船に乗り込み30分、到着したのはお隣の「高見島」。
港からは、南へ進むルート・北へ進むルートの他に、登山ルートがある。
特にどう周るかまったく決めていなかったので、港に設置された地図を見ながらゆっくり考える。
登山は朝早いうちからすることがセオリーかなぁ~?
と思い立ち、登山ルートを目指すことに。

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港から北へ少し歩くと登山ルートを記す看板があり、その側に「お助け杖」という竹でできた杖が備えられている。
坂を登って集落の奥へ進むと、さらに持参可能な登山マップまで用意されていてありがたい。
まだ登山道にも入っていない段階から勾配がきつく、体がほてって4枚着だったのにTシャツ1枚となる。

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そこから登山マップを頼りに登山道を探すが、地図がざっくりだし看板もないしで、わかりづらい。
これ登っていいんか、と思える細い山道を試しに進んでみると、どうやらそれが正解のよう。

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しかし、ここからが大変。
相変わらず登山道がわかりづらい。
そもそも、一本道として整備されておらず雑草や落葉もひどく、ただいたずらに山にもぐり混んでいる感覚にとらわれる。
たまに「●合目」「登山道」という小さな道標を見ては、胸をなでおろす。
そして何より勾配がきつく、汗ダクにもなるし、絶えず坂なので休憩もできない。

 

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ただただ不安感を抱きながら進んでいくと、坂の上から1組の夫婦とすれ違う。
よかった、今歩いているのが登山道であることと、この道の先にちゃんと頂上があることがわかるだけで、不安が一気に払拭される。

 


あとはひたすら、心を無にして進む。
すると右に折れる道を見つけ、行ってみると小さな石の祠がある。
これが登山地図にある「龍王宮」なのか。
他に何もない空間だが、妙に神聖に感じ、休憩がたらしばらくたたずむ。

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しばらくしてさらに坂を登ると、またしても道の分岐がある。
標識には「龍王宮」とあり、どうやら先ほどの祠は龍王宮ではなかったようだ。
ということで、本当の龍王宮へ。
こちらは木製の屋根付きの祠に、石の祠が2つ連なって祀られている。
鳥居の跡などもあり、昔はもっと島民が往来していたのかもしれない。

 

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道へ戻って少しすると、登り坂がおさまり、左手に広場のような空間がある。
よくよく見ると、低い石柱に「+」印がついた、いわゆる三角点が地味に設営されている。
ここが頂上なわけだが、景色も見ることができず、あまりに地味である。

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しかし少し奥へ進むと、展望台がある。
少し視界の狭さもあるが、登りの苦労が相まって、とてもきれいに感じる。

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そこから道は二手に分かれる。
ここからが、ようやく登山口で入手した地図が役立つ。
どちらのルートにも展望台があったりして悩むが、とりあえずすべての展望台を巡れるようなルートを選ぶ。


基本は下り坂なので、ラクである。
道にはイノシシが土を掘り起こした跡が無数にあり、怖い。
また、途中で石垣など人工物が多く見つかり、おそらくここが村か畑だったのだろうということがわかる。

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展望台はいくつもあり、展望台ごとに離島が見える。
近くの離島はいずれも訪問したことがあるので、過去の島旅の思い出に浸れる。

 

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長い山道を抜け、ようやく集落に到着してひと安心。
さて、次はどうしようかなと集落を歩いていたときに、声をかけられる。


つづく。

佐柳島と高見島旅 ~その3~

1日目の旅が終わり、宿泊施設へ足を運んだ、つづき。

 


宿の名前は「ネコノシマホステル」。
廃校を改装したホステルで、外装・内装とも学校の雰囲気を残しつつ、おしゃれなカフェさながらの雰囲気を醸している。

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チェックイン後すぐシャワーを浴びてから、宿のすぐ前の防波堤でたたずむ。
宿は島の東側にあるため、残念ながら夕日を拝むことはできない。
しかしながら、海やその先にある島々といった非日常な光景が、徐々に暗くなるさまは見ていて飽きない。

 


午後7時、夕食をいただくべく喫茶室へ。
タコのお造りやタコ飯、野菜の甘辛煮など、島の家庭料理が1,000円でいただけて割安感を覚える。
食後、ドミトリーのベッド以外でくつろぐ場所がないので、日記を書くなどして時間ギリギリまで居座る。

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そしてお会計をするのだが、ここで勇気を出して、宿主さんに声をかけた。
「きのう会社の人とこの宿に来る話をしてたんですが、ご主人さんらと知り合いみたいなんですよ」


そう、前日に会社の人に知らされていたことなのだ。
それを伝えることが1つのミッションとなっていたのだが、どのタイミングでどう声をかけるか、僕の中でプレッシャーとなっていた。


そんな心配も何のその、会社の人の名前を出すと、めちゃくちゃ機嫌よく話をしてくれた。
会社の人との話もそうだが、ご主人たちがこのホステルを建てるまでの苦労話も。
改装には四国の工務店の人にお願いしていたが、いかんせん船の便数が少ないため、クギが1本足りないだけでその日は何も進まない、なんてこともあったとか。
また、宿泊や飲食の商売は未経験なので、今でも手探りで営業を続けている、との苦労話も。

 


楽しい会話を終え、喫茶室を出ると、身震いがする。
どうやら食前に防波堤で長居したことで、湯冷めしたらしい。
もう一度シャワーを浴び、体を温めて午後10時に就寝。

 


つづく。

佐柳島と高見島旅 ~その2~

佐柳島に上陸し、猫の手厚い歓迎を受けた、つづき。

 


島の猫と戯れる客たちをすり抜け、島の南の集落「本浦」へと進む。
素朴な集落を進んで立ち寄ったのは、お墓に囲まれるようにたたずむ乗蓮寺
お寺はきれいに手入れされており、お堂には立派なエンマ様が祀られている。
歴史を感じながらも圧倒的な存在感は、国宝になっても不思議ではないと感じる。

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お寺から続く墓地は、南を進むに連れ小さな墓が並ぶ。
これは塩飽諸島ではよく見られる「埋め墓」と呼ばれるもの。
死体を埋める「埋め墓」とお参りをする「参り墓」の2つを用意するという、「両墓制」というシステムによるものだ。

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墓地で道は途絶えるが、海岸に降りてすぐ南に「くじら岩」がある。
くじらには見えないながらも、独特な形状の一枚岩はインパクトがある。
港に降りてから歩きっぱなしだったので、岩の上で腰を下ろしてお茶を沸かし、休憩をする。

 

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一服が終わると集落の細い路地を抜け、神社の参道を登る。
参道入口には「イノシシ出没につき参道立ち入り禁止」の看板がいくつも建っているのだが、バリケードはされていない。
マナー違反を覚悟で、先へ進む。

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参道はやや荒れてはいるが意外にも手入れされており、本当に立ち入り禁止なのかがあやしい。
石段は長く続き、体力が削られる。
島に到着してからずっと風が吹いて寒かったが、ある程度登ったところで風がやむ。
さっきまでパーカーとダウンジャケットを着込んでいたが、いつしかTシャツ1枚になる。

 

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ようやく鳥居が見え、門をくぐった先に「大天狗神社」の本殿がある。
長い石段を登ったという達成感もあるとは思うのだが、門をくぐったあたりから、神秘的というか神聖というか、独特な雰囲気を感じる。

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本殿から左に進むと、岩を削って作られた「天狗様」がある。
見た目こそややマンガちっくながら、よくよく見ると胴体や脚など服にあたる部分はほぼ加工されておらず、うまく仕上がっているなと感じる。

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さらに上り坂が続き、しばらく登ってはみたが、やがて道が薮に閉ざされてしまう。
後で調べると、その先に奥の院があるらしい。


石段を下る最中、野良仕事をしている島民さんに声をかけられる。
「上からの景色きれいやったやろ」
どうやら、参道から島の景色を見下ろせるよう、島民さんが道や周囲をしっかり整備しているそうだ。
その上で、神社を立ち入り禁止にしていることには、かなりご立腹の様子。
「何がイノシシやねん、役所のバカが」と言い捨てていた。

 


そこから進路を北へ。
相変わらず猫は多く、あちこちで猫の集団を見かける。

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いったん建物が途切れ、しばらく歩いたところに突如現れるのが、学校の校舎。
といっても、ここは廃校である。
そして、今晩の宿でもある。

 

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つづく。