キックボード旅人の日常

キックボード旅人による、旅の話とか日常のこと。

けつ地震

入社してすぐのころから、感じていた。はじめは、気のせいだと思っていた。仕事をしていると、座席全体に、小さなゆれを感じるのである。事務所はビルのけっこう上の階なので、大型車の通行によるゆれとは考えられない。上の階なので、ごく小さな規模の地震を、感じてしまうのか。それにしては、他の人が何も言わないのもおかしい。まさか、霊感?などなど、さまざまな思惑をめぐらしているうちに、ある1つの仮説が立った。ゆれているのは、まわりではなく、自分自身。つまり、お尻がけいれんなどを起こして、ゆれていると感じているのではないだろうか。ネットで調べてみると、そのような症状があるそうな。昔調べたので詳しくは覚えていないが、確か肥満体質の人に起こりやすいとか。なるほど、それなら納得。いや、納得ではないが、納得。しかしつい最近、新事実が発覚した。少しだけ席替えして、仕事をしていると、その原因を間の当たりにせざるを得ない。貧乏ゆすり。隣の席の人が、はげしく貧乏ゆすりしているのである。驚くべきは、片足ではなく、両足でしているのである。たまに脚を組んだと思えば、組んだ状態でバダダダダ。内線が鳴り、いっしゅん止まったかと思えば、バダダダダ。上司に話しかけられ、しばらく止まったかと思えば、バダダダダ。さらに驚くべきことは、ほぼ終日バダダダダなのである。明らかに、これが原因でゆれているのである。問題は、ただのゆれにとどまらない。目障り。通路をはさんで隣にある席で、かつ足下がシースルーになっているタイプなので、常にバダダダダが視界に入るのである。視界に動くものがあれば、人間は集中力を切らす。やたら動くアイコンの多い素人さんのホームページを思い浮かべれば、納得いくだろう。そして、そちらにばかり気がいってしまう。注意すればよいのだが、いかんせん隣の部署の人。しかも、僕より入社が早い。といって、その人の上司に注意してもらうというのも、気が引ける。それにより一時期止まったとしても、再開するたびに上司の人を呼ぶわけにはいかないし。ここまで激しいバダダダダなら、むしろ病気という可能性も、否定できない。さんざんにらみをきかせていたのだが、ぜんぜん気づいてくれない。ので、「これは病気だ」と判断し、守りの体制をとることにした。自分の机の横に、資料をはさんだケースを立てかけた。通路側に置いているので、明らかに不自然。「なんでこんなん置いてんの?」という質問も飛び交う。それでも、これにより明らかに仕事の集中力は高まった。ただ、視界は隠れたものの、バダダダダの音だけはどうしようもない。特にテンションが高いときは、体全体でバダダダダしているので、資料だけでは逃げようがない。こういうとき、ためらいもなく注意できる人というのが、本当にうらやましく感じる。