酷道を走っているはずがきれいな道が続いていた、つづき。
【国道でない酷道】
山を切り抜けるバイパス道はひたすら続く。
爽快ではあるのだが、何か違う。
やはり酷道が走りたい。
道の途中で、ダム側へ降りる道が延びていた。
途中で通行止めを匂わす標識もあるのだが、どうせなら旧道の形跡でも見てみたい。
そう思い、思い切ってその道へ進むことにした。
左右にうねる細い道が続き、途中で集落があらわれる。
その集落から先を進んだとたん、道がガレ始める。
進めば進むほど道がひどく荒れていて、ついにはアスファルトがほとんどダートに変わった道となる。
道幅は車がギリギリ通れるくらいで、もちろんガードレールなどない。
スピードを出すと車体が大きくゆれて、下手すれば崖に落ちてしまう。
これこれ!
こういう道を期待していたのだ!
本来期待していた「酷道(=国道)」の定義とは異なるのだが、ジムニー冥利につきる。
とはいえ、正直途中から怖くなった。
誰も通らないこの道、いつまで続くのだろうか。
途中で本格的に崩落していて、引き返せなくならないだろうか。
先が見えない状態で、徐々に荒れる道を走っていると、さすがに怖さが勝ってしまう。
そんな恐怖を覚えつつ、ようやく十字路に到着。
このときの開放感は、たまらなかった。
ちなみにそこにあったのは、「立入禁止」のゲートだ。
ただ、そこにはちゃんと旧道の418号線が残っていた。
不思議な達成感を味わいつつ、しばらく何もないその場所にたたずんだ。
つづく。