キックボード旅人の日常

キックボード旅人による、旅の話とか日常のこと。

名湯!奈良五条・栄湯

先日のツーリングの帰りに寄った、奈良県五條市にある「栄湯」。
特に印象に残ったので、あえてツーリングとは別で書き記したいと思う。

 


長いツーリングの帰路、午後4時に近くの銭湯を探して見つかったのがこの「栄湯」。
いざ寄ってみると、入り口が民家の玄関のように狭く、スマホのナビがなければ見落としそうな外観。


中に入ると、家屋の古さにビックリ。
基本的に銭湯は昭和レトロな感があるが、それよりひと世代古いというか。
何でも100年以上営業されているそうで、もしかすると昭和レトロならぬ、大正ロマンとか明治モダンというレベルである。
木製のロッカーに描かれた「廿(にじゅう)」「丗(さんじゅう)」の文字が、何より時代を感じさせる。


浴槽は2つで、お湯は熱い。
お湯の熱さのせいだろう、長湯する人はいない。
ふだん長湯の僕も、水風呂がなかったのであまり長くは入れず。
それでも、次から次へとお客さんが入ってくるさまはすごい。

 

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のれんをくぐったときから思っていたのが、常に会話が聞こえる。
脱衣所では番頭のご主人と常連さんが、浴室では常連さん同士が、大きな声で楽しげに言葉を交わす。
他の銭湯でも見かける光景ではあるが、他の銭湯よりも活気がすごいと感じる。


また、みんなが社交的だということ。
入店して風呂に入る前にペットボトルの水を飲んでいると、それを見た常連さんが「こんなふうにちゃんと水飲まなあかんねん、なあ?」と声がかかる。
風呂上がり、バイクに乗る前に体の熱を冷ましていると、今から銭湯に入る人が僕のTシャツを見るなり「おっ、アイアン・メイデン!」と反応したり、その後お客さんと番頭さんが僕のバイクのナンバーを見て「大阪から来たん?」と話しかけてくれたり。


ひとつ後悔というか反省なのが、僕自身がほとんど会話ができなかったということ。
もちろん僕のコミュニケーション力の欠如が大きな原因であるが、このご時世に他府県である大阪から来ているという負い目もあったり、常連さん同士のコミュニティの邪魔をしてはいけないという気持ちがあったり。
とにかく、完全に会話するモードをオフにしていたのである。

 


何だろう、うまく書ききれないけれど、今までたくさんの銭湯を巡っているけれど、ダントツに印象が深いのである。
何なら今週末にも行きたいな、と思っているほど。


やっぱり銭湯って大切よね。
時代の流れというのも当然あるけれど、なくなってほしいなあと心から思う。