キックボード旅人の日常

キックボード旅人による、旅の話とか日常のこと。

矢田寺遍路

土曜日は、お遍路をしてきた。
天気もよく、肌はすっかり焼けてしまった。

といっても、四国へ行ったわけではない。
奈良県大和郡山に、「矢田寺」というところがある。
そのお寺の裏山に、お遍路道があるとの情報を見つけ、行ってきたのだ。

駐車場にバイクを置き、坂を上り、さらに石段をあがったところに、境内がある。
でかっ!
はじめて聞いたお寺だったので、小さなところかと思いきや、広い境内に数多くの建物や石像が並んでいる。
さらに、「あじさい寺」という異名もあるらしく、無数のあじさいが茂った「あじさい園」なんかもある。

はじめて聞いたお寺だったのでナメていたのが、申し訳なく感じる。
お遍路をする前から、ただ純粋にお寺の雰囲気を楽しめる。


さて、本堂から左手に進み、いよいよお遍路道へ。
基本は、ちょっとしたトレッキングが楽しめる、山道である。
そこに、石仏が置かれた場所が八十八箇所ある、といったもの。

石仏同士の距離は、けっこうまちまち。
10歩も離れていない距離にあるのもあれば、なかなか見当たらないものまである。
面白いのは、途中しっかりと道案内がされている、といったところ。
それでも、一箇所おもいっきり迷ってしまったのは、単純に僕の方向感覚が鈍いだけである。

40番台に差しかかり、「これでもう中盤か」と、もの足りなさを感じたあたりから、急に石仏の配置広くなり、道の勾配がきつくなる。
ヘトヘトに疲れ、ちょっと休憩をはさみたいな、といった絶妙のタイミングに、休憩小屋が設けられている。
奈良の市街地を見下ろせ、景色に申し分なし。
社交的なほうではないが、同じく休憩中だったご年配夫婦とも、ちょっとした話を楽しむ。

そこからしばらく行くと、今度はこれでもかという、急勾配の下り坂。
道もまっすぐではなく、調子こいて走り降りようものなら、ガケから転落しかねない、少しだけ危なさを感じる。


八十八箇所すべて回り切り、見事「結願」。
なかなか長い時間まわっていた気分であったが、時間にしてちょうど1時間である。
ただの山歩きではなく、目的があるというだけで、こんなに充実感というものは、変わってくるものか。

秋は紅葉もきれいだとか。
ぜひとも、また秋のシーズンに来たいものだ。
ただ石仏をめぐるだけでなく、お遍路道からいくつか伸びていた脇道なんかも散策して、半日くらいかけて、ゆっくり堪能したい。

それにしても、お遍路は「願かけ」の儀でもあるのだが、すっかりお願いごとを忘れていた。