キックボード旅人の日常

キックボード旅人による、旅の話とか日常のこと。

オトナ ノ カクレガ

お前は大人なのか?
とたずねられると、素直に首を縦に触れない自分がいる。
おそらく、自分の頭の中の「大人像」とやらと比較し、ぜんっぜん追いついていないためだろう。

だからこそ、たまに大人っぽいことをしているときに、「うわっ大人やってるわ~」と心の中で照れ臭くなる。
先週金曜日は、まさに大人を感じながらも、ひとりダイニングで酒を味わっていた。

行き先は、唯一の“行き着けの店”である、都島の「天」。
こうしてひとりでフラッと寄るのは、本当にまれ。
今回は、残業続きで体力もストレスもヤラれていたので、自分への癒しと活力付けのためである。

ひとりで飲む、といえばキザな感じであるが、実質はマスターと話をするので、孤独感はない。
あいかわらず、メニューを見なくても何かと料理を出してくれて、1つひとつがマジでうまい!
料理が出されるときに、必ず産地を説明してくれるあたりが、マスターの腕がホンモノであることを物語る。

ちょっと僕自身が疲れていたのか、僕から会話をふることがなかなかできなかった。
が、マスターのほうが気をつかってくれて、いろいろと話しかけてくれることがありがたい。
はじめは他愛なくしょうもない話が多かったが、他のお客さんがいなくなってからは、マスターも座って、ちょっとマジメなお話も。

とても具体的に言えないが、マスターが修行時代の話は、実に壮絶であった。
どんなことをしても這い上がる、というハングリー精神は、もう爪垢を煎じて飲まなければと思えるほど。
それだけ努力をして、自分に自信を持っているからこそ、これだけおいしく落ち着けるお店を作れるのだなぁ、と。

いやはや、まだまだ僕は大人ではないなぁ。
とか思いながらも、本当に充実した時間を過ごすことができた。

すっかり終電を乗り過ごし、それを想定して持参したキックボードで1時間の夜道を走るあたりは、大人なんだか子どもなんだか。