キックボード旅人の日常

キックボード旅人による、旅の話とか日常のこと。

ストリート魂

会社のビルから駅まで、1本の渡り通路がある。
9割方ビジネスマンが往来するこの通りで、夕方たまにストリートミュージシャンが歌っている。
今日に至っては、何と2組もいた。

くたびれたビジネスマンが立ち止まることもないだろうに、一体なぜここを選ぶのだろうか?
などと思いながら、ちょっと昔の自分を思い出したりしていた。


といっても、ギターもひけない僕が、夜な夜なストリートで歌っていたわけではない。
ただ、たった1度だけ、やったことがある。

はじめて勤めた会社で、やたら「ゆず」にハマっている奴がいた。
「ゆず」が好きすぎて、ギターを覚え、ハーモニカを覚え、夜な夜なストリートで歌うという、何ともアツい奴であった。
そんな彼ともう1人、かつてストリートでやったことがある、という奴がいて、それならやってみようという話がまとまった。
そこになぜか、僕も巻き込まれたというわけだ。

夜の8時くらいからだったろうか。
大阪城公園の、よりによって人通りの少ない場所を陣取り、演奏開始。
まぁ2人とも、そこそこうまい。
僕は横で、演奏を邪魔しているとしか思えないくらいテキトーに、タンバリンを叩いていた。

途中、何か歌うかと言ってきてくれた。
今でこそアレなチョイスながら、チャゲアスなら歌えると返した。
そしてチャゲアス初期の歌を、何曲か歌った。
とても上手とはいえない歌唱力ながら、カラオケとは違った開放感が、えげつなく楽しい!

と楽しめた時間は、1時間もなかった。
あとはひたすら、気持ちよくトランス状態になった2人を横目に、ボーっとするのみ。
だって、そこから深夜3時まで続いたのだから。
終電までに、帰ると言い出せなかった自分に、ひたすら後悔した。


あれから15年、彼らはどこで何をしているのだろうか。
今日の2組のミュージシャンを見て、そんな過去へタイムスリップできたことに、とりあえず感謝をしておこう。