キックボード旅人の日常

キックボード旅人による、旅の話とか日常のこと。

パンドラの黒箱

ぞくぞくと、背中に何かが走るのを感じた。
ただ、それを気づかないフリするのに、精一杯であった。


仕事の一環として、一眼レフカメラを使うための勉強会があった。
カメラにシロウトである僕にとっては、願ったりかなったり。
一眼レフは持っているものの、ぜんぜん使いこなせていない。

勉強会に使われたカメラは、いわばプロ仕様のもの。
原付バイクが、2台くらい買えるくらいのシロモノである。
持ったとたんの、ずしりとした重量感が、もうたまらない。

で、基本的な操作や撮影のテクニックなど、一連のことを教えてもらった。
今さらなものから、まったく知らなかったことまで、いずれも興味深い。

そして、実際にカメラを使って、撮影。
すごい!
ただフツーに撮影しただけなのに、もうプロのクオリティのものが撮れる。
もちろん僕の腕が短期間で上達したわけではない、ひとえにカメラの力である。

何がどうすごいのか、具体的に原因はわからない。
ただ、人物の表情であったり、まわりの景色であったり、それこそ肉眼以上にきれいに見える、といっても過言ではない。
カメラが違うだけで、こんなにも違うもの?


そのときに覚えた衝動が、これを持って廃墟に行きたい、というもの。
今まで行ったすべての廃墟に訪問し、あらゆる角度の写真を撮りまくりたい。

ただ、それを実現するには、何よりも原付2台ぶんの投資が必要。
一生モノと考えると手が出ないわけではないが、どうしても金額面がネックとなる。
今の一眼レフのように、買ったはいいが年に数回しか使わない、なんてことにもなりかねない。

カメラに興味を持ったら、際限なくハマるのでやめておけ。
と、昔っから自分自身に言い聞かせている、というのは事実である。
まさか、こんなところで強烈に興味をそそられるとは。

そんな感じで、今はその興味を冷ますべく、ただただ自分にウソをつきまくっているところである。