キックボード旅人の日常

キックボード旅人による、旅の話とか日常のこと。

家島諸島ほうろうき~前編~

梅雨入りとともに晴天が続き、梅雨明けとともに雨天が続く。
ほぼ毎年くり返されているという事実は、意外に知る人が多い。
だからこそ、この時期は予定を立てにくいのだ。

そんな「梅雨入り」という寝言など無視して、先週末は一泊旅行してきた。
最近めっきりハマっている、離島めぐりである。
今回は、姫路より南に位置する、「家島諸島」という場所。

4つの有人島があり、うち1つはほぼ施設が牛耳っている状況らしいので、残り3つをまわってきた。
テキトーに区切りを入れつつ、テキトーにまとめてみる。


【出発】
姫路駅に到着したのは、午前9時。
そこから港まではすぐかと思いきや、バスで30分。
城しかないと思っていた街も、けっこう開拓されているのにはびっくり。

フェリー乗り場には、いくつかのフェリー会社が店舗を構えている。
といっても、便数はそう多くないため、出港前にだけ窓口を開けるシステムのようだ。
そこで、はじめの目的地「男鹿(たんが)島」への切符を買い、渡船へと乗り込む。


【離島:男鹿島】
途中から見える男鹿島は、想像を絶するインパクトがあった。
もともと下調べをしていたものの、実物を見ると、これまたすごい。

この島は採石産業がさかんで、島の半分近くが採石場となっているのだ。
そのため、痛々しいほどに山が削られ、重症の口内炎のように山肌が黄色くむき出しになっている。

島へ上陸すると、海に面した一本道に家がポツリポツリと並んでいる。
そのうち、旅館や民宿の類が多い。
が、シーズン的なものなのか、過疎化の影響か、オープンしているお店はほとんどない。

たまたまオープンしていたお店へ寄ると、さばきたてで身をヒクヒクさせた魚が並んでいる。
そこの民宿は、昼はテラスで新鮮な魚が食べられるようで、その支度中のようだ。
裏手には釣り堀があり、1時間3,000円という値段でもうなずけるほどの魚が、ウヨウヨと回遊している。
見ているだけで、ちょっとした水族館に来た気分である。


さて、そこから島を一周。
期待どおり、「荒野」とうい名がふさわしい採石場が続く。
それこそ、特撮もののロケや北斗の拳の実写版が、同時に何十シーンも撮れそうな規模である。

途中、集落があらわれるも、また少し歩けば荒野。
まぁ、これは見ていて飽きない。


ただ、意外に距離も多く、坂もあるため、疲れる。
先ほど立ち寄った民宿で「2時間歩けば一周できる」と聞いたものの、到底そんな時間では不可能。
今までの経験上、3時間を確保したものの、間に合いそうにない。

間に合わない、というのは、フェリーの時間。
13:23発のフェリーに乗らないと、次は17時過ぎまでない。
そうなると、さすがにこの島で4時間潰すのは無理。
しかも、民宿を予約している家島へ行くには、相当遅い時間になってしまう。

時間の融通のきかなさも、離島めぐりの醍醐味。
なんてことは言ってられない、本気の本気でピンチ!
途中から走るも、残り時間を見ると到底間に合わない。
けれど、今は走るしかない。


残り5分。
というときに、1台の車が正面からやってくる。
ダメ元でヒッチハイク、をしようかと思えば、逆に向こうから声をかけてくれた。
「船乗るの?送って行こうか?」

何このタイミング?
まさしく奇跡としかいえない。
採石場で働く方が、たまたま他の人を港へ送った帰りだそうな。

何度も何度もお礼を言って、何とか船に間に合う。
途中急いだために、神社であったり小学校跡であったり、見ようと思っていた場所は観光できず。
であったが、そんなことよりも船に間に合ったことだけで、おなかいっぱいである。


何だかんだで長くなってもうた。
続きは明日。