キックボード旅人の日常

キックボード旅人による、旅の話とか日常のこと。

大阪唯一の秘湯

タイトルにでかでかと「秘湯」と書きながら、何をもって秘湯と呼べるのか、いまいちよくわかっていない。
しかしながら、クソ田舎の山の中に、手書きの看板のみで道案内しているさまは、どうしても秘湯と言いたくなる。
事実、多くのサイトでも、秘湯として紹介されているのだ。


日曜日、特にやることがなかったので、かねてから行きたかった「山空海温泉」へと足を運んだ。
かねてから、といいながらも、実は一度行ったことがある。
そのときの印象がとてもよく、「いつか時間を作ってゆっくり入ろう」と心に決めていたのだ。

車で行くなら、国道を走るとスムーズに行ける。
が、国道はあまりに退屈だし、遠出した感が出ないので、ここはあえて山を突っ切るルートを選んだ。

期待どおりの山道は、とにかく田園と山に囲まれて、ドライブの風景として理想すぎる。
時おり、雪が積もっている場所もあり、あらためて田舎にいるなということを体感する。

途中、道の駅っぽい規模のドライブインだったり、青空市場が点在。
寄り道にも、事欠かない。


道中だけでもじゅうぶんに楽しみながら、ようやく到着。
駐車場に車を止め、大人2人がすれ違うので精一杯の川沿いの道を抜け、いくつかの小屋の並んだ場所へと到着。

到着するや、出迎えてくれたのが大きな犬2匹。
柵ごしにこちらに近づいてきたかと思えば、何とかんたんに柵から抜けてこちらにやって来た。
しかも手書きの注意書きに、「一匹は気まぐれに噛むので注意」て!

屋外に設置された券売機で、入湯券を購入。
すると、小屋からおばあちゃんが出てきて、それを渡すというシステム。
この券売機、いる?


さておき。
いちおう宿泊できるらしい、古い民宿を思わせる小屋なのかプレハブなのかを横切って、いよいよ温泉へ。
せまい脱衣所には、はんぶん壊れたコイン式のロッカー。
温泉が離れになっており、貴重品は完全に「自己責任」というあたりが、秘湯たるゆえんである。

秘湯のくせに、意外に人の出入りがある。
以前来たときは、完全に貸切状態であったのに。
やはり、インターネットによる口コミの力なのであろう。
なんでも、全国の温泉マニアがやって来るらしいからね。

セメントで作られた2つの湯船は、ひとつが普通の温度、もうひとつが少しぬるめの温度。
これを交互に入ることで、健康が保たれるそうな。
健康がどうかというのは実感できないが、のぼせたときにすぐぬる湯にエスケープできるのは、ありがたい。

さらに、小さな湯船が別に置いてあり、そこは水風呂。
さすがにこの季節、入る勇気はない。
ただ、水といってもれっきとした温泉であり、これに入っても効能があるようだ。

ちなみに、お湯は硫黄のにおいがただよう。
かつて温泉にどっぷりハマっている時期があり、自宅から3時間圏内の温泉は行きつくしたが、硫黄のにおいがあるのはここだけである。
お湯は蛇口から出るシステムで、つねに流しているわけではないが、れっきとした「100%かけ流し」である。

やはりお湯がよいためか、いくらぬる湯と交互に入ったとはいえ、のぼせるのが早い。
いつもなら2時間くらい入れるのに、1時間ももたなかった。


再訪だというのに、施設の見た目におののき、看板の内容にいちいち反応でき、それでいてお湯がよいのは、秘湯たるゆえんと言ってもいいだろう。
温泉が好きな方は、ぜひとも一度足を運ぶべきだと思う。
あとパラダイス好きと。