キックボード旅人の日常

キックボード旅人による、旅の話とか日常のこと。

プロの品格

えらく前の話であるが、日記を書こうと思って書きそびれていた話。

スキーへ行く予定があったのだが、スキー靴のインナーがボロボロになっていて、もう履けない状態になっていた。
たまたま会社の近くに大型のスポーツ屋があったので、買いに行くことにした。


スキー用品売り場へ向かい、とりあえず前回使っていたものと同じブランドのものを、試し履き。
むむ、ちょっとキツい。
ブランドはあきらめ、店にあるいちばん大きなサイズのものを履いてみると、今度は足まわりがぶかぶか。
諸事情により、ふくらはぎが必要以上に肥大しているため、選び方がよくわからない。

こうなったら、店員を呼ぶしかない。
と、あたりを見回しても、近くに店員の姿がない。
店員を呼ぶためのボタンみたいなものも、探しても見つからない。

しばらくキョロキョロしていたが、どうしようもなくなり、わざわざレジへ行って店員を手配した。
何で客がそんなに労力使わなあかんの?
このお店の、サービス業としてのプロ意識を疑った。


しばらくして、店員さんが到着。
先ほど試した2足を例に、なかなかフィットするものがないことを説明した。
で、スキー靴を履くときは、どのくらい締め付けたらいいかということも、質問。

しかし、店員さんの返答は、いま一つテキトーなもの。
しかも、僕が試し履きしたシューズを移動するときに、汚物を触るような持ち方をする。
それ、僕買おうかと考えてるもんなんやけどな。

10分ほどやりとりをして、その店員から衝撃的なひとこと。
「じゃあアドバイザーのものを呼んできます」
え~っ、あんた商品のことわからんのに出てきてたん?
てゆうか、はじめっからそんな人おるんなら、呼べよ。
モノを売る側としての、プロ意識を疑った


しばらくして、アドバイザーさんが到着。
僕の話を聞くなり、次々とシューズを選んでくれる。
1足持ってきては、最良と思われるセッティングをしてくれる。
セッティングは1足あたり、だいたい3~5分かかる。

なかなかフィットするものが見つからない。
そのつど、アドバイザーさんは履いている状態を確認したうえで、頭を悩ませながら次のシューズを持ってきてくれる。

合計で、8足くらいは試したろうか。
どんどん申し訳なくなり、「じゃあいちばんマシだったやつで」と妥協したくなるほど。
しかし、アドバイザーさんは妥協することなく、最後の最後まで親身に対応してくれた。

最終的に、ややブカブカだったものにインソールを入れることで、最良のフィット感を得ることができた。
あまり笑顔を作らなかったアドバイザーさんが、「インソールという手もあったか」と満足げにほほえんだ表情には、感動すら覚えた。
顧客満足を追求するサービスマンの、プロ意識を尊敬した。


という経緯があり、翌日のスキーでは今までとは比べものにならないほど、快適な滑りができた。
ほんま、アドバイザーさまさまである。
来シーズン以降も、シューズを履くごとに、あの“プロの笑顔”を思い出すことだろう。