キックボード旅人の日常

キックボード旅人による、旅の話とか日常のこと。

えん

自分の名前を呼ばれることなど、不思議でも何でもない。
しかし呼んだ相手のほうへ顔をやると、不思議な気分に襲われた。

就職したての職場で僕に声をかける人は、同じ部署の人か、面接にたずさわった人。
にもかかわらず、その人はいずれにも該当しない。
だというのに、間違いなく僕はその顔を知っている・・・

あからさまな苦笑いに僕の気持ちを見透かしてか、その人はとっさにあるキーワードを口にした。
瞬時に、すべてを悟った。


会社名を聞いて、はじめて頭の中でつながった。
1ヶ月までいた会社の、社員さんである。

かつて同じ会社やったのにピンとこなかったのは、部署が違っていたため。
僕がいた部署の隣は、ほぼ技術者の派遣みたいなことをしていた。
そのため、ほとんどの人が社外で働いており、顔は見たことあるけど名前がわからん、って人がざらにいた。

どうやら、今の僕の職場に、前の職場の部署が人員を送っているらしい。
まさか、ここまで来て前の会社とつながっているとは・・・


正直な感想としては、うれしさが多い。
前職では、いくら僕が隣の部署の人を知らなくても、逆に僕はよく認知されていた。
中には、たまに飲みに行ったりする人もいた。
そんな人が同じフロアにいるということで、ずいぶん孤独感から開放される。

縁とは、こういうことなんやろな。
会社も人も、将来的にまたお世話になる可能性があるから、礼儀だけはしっかりしなくてはいけない。
ということを、聞いたことがことがある。
まさに、こういうことか。


だからこそ、前の会社では「円満退職したい」と、退職の意思を告げた日に一貫して言い続けてたのに。
僕の退職当日に逃げやがったあのアホが、すべて台無しにしてくれた。

今の職場で僕がそこそこの地位に立ち、そのときあのアホがのこのこ姿をあらわしたときは、ぶっ潰したる!
いや、ホンマ社会的地位が崩落する程度に、ぶっ潰したる!

と、今の会社でがんばるきっかけが、1つできた。