母が押入れを整理していたらしく、いろんな掘り出しモノを出してきた。
「こんなんいらんやろ?」と渡されたあるものに、釘付けとなった。
ラジカセの取扱説明書。
推定、30年前の製品。
黒とくすんだオレンジの2色が、いかにもヴィンテージ感ただよう。
なんちゃってヴィンテージ好き、というのが、ポイントの1つ。
もう1つのポイントは、取扱説明書である、ということ。
えぇ、それを作る仕事やから。
全16ページ。
少なっ!
ラジオやイコライザー機能なんかも付いてんのに。
今の時代、32~64ページは必要やろうに。
ページが少ない理由は、いろいろある。
PL表記が少ない。
取扱説明書のはじめのほうに必ずある、「警告」とか「注意」とかの、たいがい読み飛ばすアレ。
まぁPL法の制定は、日本では平成入ってからやしね。
イラストが少ない。
例えば「録音する」方法が、写真に引き出し線を引いて、1ページでまとめてある。
ある意味わかりやすく感じるが、やはり初心者には不親切。
1手順ごとにイラストを用意することが、ベストである。
デザインが、雑。
ページの上下左右にスペースが少なく、情報が詰まりすぎている感がある。
また、柱やヘッダがなく、目次からでないと情報を検索できない。
その他細かいこと言えば、キリがない。
ただ言えることは、昔の人はこの取扱説明書で、満足だったのだ。
今みたいに分厚くなったのは、メーカにクレームをつける消費者が、多くなったため。
というのはあくまで推測だが、当たらずとも遠からずであろう。
しかし、そのために取扱説明書のページ数が増えたのでは、結局読みにくく悪循環な気がする。
あと、何かとケチつけたが、30年前からあったんか、というテクニックがたくさんある。
イメージイラストなんか、最近の取扱説明書よりも、柔軟なタッチながら的を射ているし。
どうせ取扱説明書を作るのであれば、こんな少なく読みやすいものを、作りたいものである。