1日のもっとも弱っている時間、朝。
弱っているというのに、30分間人が押し寄せる電車に乗る。
苦痛のさなか、電車内の人口密度が1.2倍くらい増えて通常の倍ほど疲労を感じる、春。
小学校のころ見た、未来予想番組を記憶している。
未来の人間は、空気汚染のため外出するのに酸素マスクを装着しなければいけない、というもの。
外出するのに酸素マスクなんて、と矛盾と嫌悪を感じた少年時代。
でも現在、毎日マスクがないと外出できないアレルギー体質を憎む、春。
ほんの1週間ほどで、はかなく散る桜。
えもいわれぬ美しさも、数分眺めて、カメラのシャッターを切ったとたんに興味が半減する、春。
昔の自分を棚に上げ、新人社員のマナーや態度の悪さに舌打ちする、春。
「恋の季節」という期待感が強いほど、的中率が弱くなるというパラドックスを持つ、春。
意外にも、このようにネガティブなことが多い、春。
それでも「春だから」という心づもりだけで、トータルでポジティブに感じられるステキな季節、春。
