この旅でいちばん危険だった道は、「親不知(おやしらず)」。
先日紹介した糸魚川より、西側にある道である。
国道ではあるのだが、崖を削って無理やり道を作ったような造りになっている。
道はトンネルではなく、削った崖をコンクリートで囲った、いわゆる洞門と呼ばれる建造物となっている。
トンネルとの大きな違いは、海側がシースルーとなっていること。
聞こえはいいが、ようは海側の段階を見下さないといけないので、高さがニガテな身としては辛い。
何より恐ろしいのが路肩の狭さ。
もちろん、歩道などない。
さらにその狭い道を、これでもかというくらい大型トラックが往来するのだ。
今までさんざん怖い道を通ってきたが、ここはベスト3に入るのではないだろうか。
大型トラックが通るたびに、足を止めて洞門の柱の影に隠れる、ということを繰り返す。
ひたすらそれを繰り返さなければいけないのだ。
しかも道は平坦ではなく、中盤までは体力が削り取られる上り、終盤まではスピード出したいけれど後方からの車も意識しないといけない下り。
もちろん、休憩したくても腰を下ろす場所などない。
そんな状況が、5キロほど続く。
ようやく越えた!
と思いきや、今度は「子不知(こしらず)」という、似たような洞門がまた続く・・・
ちなみに昔は、崖の上に現在の道はなく、崖の下の海岸沿いが本通りだったらしい。
海岸が狭く、潮の満ち引きで通行の有無が決まるうえ、大波が来る度に岩場へ逃げ込まないといけない・・・
とかだったかな?
命を落とす人も続出する、えげつない難所だったそうな。
それが今でも難所のままというのは、何とも皮肉なものである。