キックボード旅人の日常

キックボード旅人による、旅の話とか日常のこと。

三重・忘年廃墟ツアー ~前編~

正月に昨年の話を書くのはどうかと思っていたけれど、とりあえず3が日も終わったので、書き溜めていたものを書いていこう。
まずは、年末にGORIと行った、三重県の廃墟ツアー。


【旅行プラン】
年末に大学の友人・GORIと会うことは、もう10年以上続く恒例行事となっている。
ただ今年はGORIの生活環境が変わり、ちょっと会うのは難しいかも?
と思っていたが、何とか無事1泊で会えるようになった。

行き先は軽く遠出できる場所として、当初は岡山を予定していたが、中国地方は天気が思わしくないらしい。
ということで急遽、三重へ行くこととなった。
本来なら十分な下調べをするべきだが、年賀状の作成に追われていたこともあり、ざっくりとした計画しかできていない。
いつもながらのグズグズな旅が期待できる展開である。

当日は午前10時に、奈良・法隆寺駅で集合。
のはずが、僕が電車の乗り合わせを思いっきり失敗し、20分後に違う駅で合流となった。
初手から、旅の不安を感じずにはいられない。


【廃墟:M健康ランド

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出発して1時間、1軒目の「M健康ランド」へ。
遠くからでも存在が確認できる、やや大きい建造物である。
屋根に装飾された龍のオブジェが特徴的で、あまり荒廃もしておらず勇ましい。

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いざ内部へ入ると、足場が絶えず濡れている。
というのも、あちこちの天井が崩れており、浸水しているのである。
廃墟散策するのに、変にオシャレしてきたことに、2人して後悔する。

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ロビーから入り、廊下を進む。
残念ながら残留物は少なく、荒廃もひどい。
ただ、天井や壁の廃れ具合が絶妙に美しく感じる。
と同時に、休業からわずか8年でここまで廃れてしまうということの不思議さに驚く。

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メインとなる風呂場は、浴槽がそのまま残っている。
流れるプールやサウナ・露天風呂なんかもあり、普通に生きていれば楽しい場所だろうなと感じる。
やはり「健康ランド」という古い形式であることや、スーパー銭湯ブームで次々に新しい温泉ができたことが、閉鎖の原因になったのだろうか。

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【昼食:一升びん】
昼食どきになり、もちろんどこに寄るかは決めていない。
せっかくなら三重でしか食べられないものをと、すぐに調べる。
すると「松阪ホルモン」なるものを発見。
名前から想像できるとおり、松阪牛のホルモンのことである。
特にホルモンは鮮度が重要なので、他県では出せないそうな。

ということで、特に有名らしい「一升びん」というお店へ。
午後1時を過ぎているのに、10人以上の待ちができている。
これは期待できそうだ。

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やがて通された店内は広く、見た目はやや昭和な雰囲気が漂うも、きれいに手入れされていることがわかる。
ホルモン4人目はじめ、いくつか注文をする。

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黙々と肉を焼き、次々と食べていく。
ホルモンはやわらかく、うまい!
が、「これぞ松阪牛!」といえるほど大きな感動はない。
きっと大阪でも、探せばこれと同等のホルモンは食べられるだろう。

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ついでに注文した上ハラミも同様、大きな感動はない。
ちょっと「松阪牛」というブランドとお店の混雑具合に、期待しすぎたのかも知れない。
いや、うまいんだけどね。


【廃墟:TRホテル】
夕食にがっつり食べるべく昼食は腹6分にしよう、という予定はどこへやら、すっかり満腹になりながらも、次の物件へ。
高台にたたずむ「TRホテル」は、遠目では廃墟と気づきにくい立派な建物。
かつて解体が決まっていたが、解体業者の詐欺行為が発覚し、その後の解体作業がまったく進んでいない状態だそうな。

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ロビーは荒廃しているものの、天井のシャンデリア・壁にある各旅行会社の看板・表彰状などは、保存状態がよい。
事務所や社長室には、服や写真など、大量の残留物がある。
まるで、ある日突然事務所を追い払われたかのような印象である。

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海側にある客室は、ガラスや障子が破壊されていている場所はあるものの、比較的きれいな印象だ。
布団も大量に残っているし、水と食料さえ確保できればじゅうぶん住むことができるだろう。

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山側にある部屋は、社員の事務所と社宅。
ここもロビーそばの事務所同様、服や私物が残る。
妙な生活感が残り、少し気味悪く感じる。

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あとはひたすら階段を上り、屋上へ。
絶景!
海と離島が夕焼けに照らされるさまに、思わず息をのむ。
きっとホテルが生きているころは、客が立ち入ることのできなかった場所だろう。
屋上の広さも、さらなる開放感を助長してくれる。

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【宿泊:相差パシフィックホテル】
あたりが暗くなった午後5時半、鳥羽と志摩の中間あたりに位置する「相差パシフィックホテル」へ到着。
値段がお手頃なのであまり期待はしていなかったが、ロビーはきれいで接客もていねいなので、悪くない。
部屋も男2人で過ごすには、じゅうぶんな広さである。

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夕食まで時間があるので、まずはお風呂へ。
熱い!
お湯が熱いため、すぐにのぼせてしまう。
ちゃんとした温泉だし、せっかく露天風呂もあるというのに、こうもお湯が熱いと長居ができない。

風呂上がりに部屋でダラダラしているうちに、部屋に夕食が運ばれる。
部屋食というのがありがたい。

料理の目玉は、あわびの踊り焼き。
網に載せられた生きたあわびを、網焼きするというもの。

むごい!
はじめピクリともしなかったあわびが、火がついて間もなく収縮する。
と思えば、そこから動きは激しくなり、体をひねったり、殻から逃げ出そうとしたり。
明らかに苦しむさまは、残酷そのものに感じる。
やがて動かなくなったか、と思えば、再び動き出したり。
時間にして10分はあっただろうか、「命」というものに向き合ったようにも感じられた。
はかない命をいただいたが、ちょっと磯臭くてあまりおいしくはなかった。

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その他、お造りの盛り合わせやかき土手鍋など、海鮮中心の料理はボリュームもあり満足。

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【夜食:ラーメン太平】
すっかりお腹もふくれ、再び風呂に入る。
ふと、窓の外にある1軒のお店が気になる。
どうやらラーメン屋らしく、この宿に着いたころから気になっていたのだ。
海沿いの少し入り組んだ場所にあるにもかかわらず、こんな年末の夜中に開店しているのは、相当味に自信があるのだろう。
満腹感でいっぱいなのに、せっかくなので2人で向かってみた。

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店内は、他の旅館のお客さんが1グループ。
あとから、釣り人も入店していた。
なるほど、何かしら需要はあるみたいだ。

チャーシュー麺を注文し、まもなく到着。
スープは、やや動物系の香りがあり、塩辛さが特徴的で、なかなかうまい。
麺は白っぽく舌触りがよく、スープと絶妙にあう。
総合的に、なかなかのアタリである。
すでに食べすぎた胃袋にも、スルスルと入ってくる。
ただ、チャーシューを食べたときだけ、一気に重さを感じる。
素直に普通のラーメンを注文するべきだった。

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【就寝】
食後は、部屋でひたすらダラダラ。
互いに睡眠不足で挑んでいるにもかかわらず、なぜか寝る気がおこらない。
といって、熱いトークを交わすでもない。

しまいに僕のほうが参ってしまい、午後11時半に就寝。


後半へつづく。