「猫崎」から県道11号線を南下して約10分、道沿いに「蓮華寺」の石碑が見える。
車を停め、歩いてすぐにあるこのお寺は、「但馬七福弁財天霊場めぐり」や「但馬七花寺巡り」の札所でもあり、お遍路にゆかりのあることがわかる。
慶雲4(707)年、行基により開かれ、但馬の信仰文化の中心として隆盛を極めたという、由緒正しくお寺である。
門をくぐると、境内にあるいくつものお地蔵さんと、目の前に続くなだらかな上り坂が印象的である。
うまく言えないのだが、光景がとても美しい。
上り坂を進むと、脇にお地蔵さんが並んでいる。
1つの石に「本尊」と「大師」が1対で彫られており、台座に番号がある。
やがて坂を上り切ると、本堂があらわれる。
本堂のまわりには、かなりたくさんのお地蔵さんがある。
ここもまた、景観も非常にきれい。
まるで別世界に来たような、何とも心地よい空間だ。
お寺や神社をまわっても、ここまで神聖な気分を味わうのは珍しい。
「新西国参道」という標識と、そこから細道が続いていたので、そこを進む。
すると、なぜかお地蔵さんが、再び1番からとなる。
しかも、2体1対ではなく、1体のみ彫られている。
違和感を覚えつつも、本堂まわりの境内をくまなく巡れる道を歩く。
進むごとに境内の違った景色が見られ、とても気分がいい。
30番あたりまで巡ったところで、お地蔵さんが途絶える。
そしてすぐ横に、88番のお地蔵さんが。
さすがにおかしいと感じ、スマホで調べる。
すると、どうやら今巡ったのは「西国三十三箇所」の石仏めぐりらしい。
つまり、「四国八十八箇所」と2種類の石仏めぐりが、境内に存在するのだ。
改めて、四国八十八箇所の順路を進む。
こちらは、境内を大回りするルートであり、本堂から少し遠ざかる。
道のまわりは木々で囲まれ、どちらかといえば森林浴をしている気分である。
お地蔵さんは10~20歩間隔で並べられており、一本道なので、迷わない。
途中、坂はあるものの、そうバテるものではない。
何より、境内の広さにビックリする。
「四国八十八箇所」のほうは、全行程で45分ほど。
「西国三十三箇所」をまわっても、90分かからない。
とにかくお寺の境内の神聖さを感じられるので、両方とも、ゆっくり巡ることを強くオススメする。