ほんの数時間前までは、血眼になって働いていた。
そんな現実がウソのような、不思議で楽しい時間を過ごしていた。
金曜日は、あつし君とその知り合いあわせ、計6人もの人数が集結。
買い出しをし、向かった先は、山奥にある廃キャンプ場。
そう、こんな季節にもかかわらず、キャンプである。
以前にも、廃駅跡で夜な夜なたき火をして過ごしたことがあるが、それの第2弾である。
キャンプ場はゲートで遮られているため、ゲート前で車を停め、荷物を運搬。
10分ほど山道を越えたところに、ひっそりとキャンプ場がたたずむ。
「たき火」がこの会合のメインイベントながら、広場は雑草が生い茂っている。
まずは、雑草を除去する係・残りの荷物を持ってくる係・テントを張る係にわかれ、各自作業する。
このへんの作業分担がスムーズに行くあたり、オトナっていいなと思う。
雑草が完璧に除去されてからは、いよいよ火をおこす。
燃料はキャンプ場まわりに落ちている、倒木や枯れ木。
であるが、数日前の雨のせいか、木々が濡れてしまっている。
それでも、何とか乾いた木を探しつつ、火にくべていく。
想像していたほど大きな火はおこらないものの、コミュニケーションをとるのに十分な灯りとなる。
火をおこすことに必死になっているあまり、食料をとるという行為をすっかり忘れている。
はじめて気づいたのは、やはり食い意地のはっている僕である。
レンガを拾い集めコンロを作り、食べ物を口にしたのは、すでに日が変わってしまったころである。
気温は、意外にも寒くない。
ライトであたりを照らすとわかるのだが、やや霧がかかっており、湿度の高いことがわかる。
寒いからビールが進まないのでは、という心配も何のその、順調に酔いはまわる。
しあわせである。
目の前には、炎の光と暖かさ。
見上げると、満天の星空。
本当に、時間という概念を完全に失いながら過ごす。
やがて1人ずつ寝始める。
僕も眠気を感じながらも、この不思議な時間をいつまでも味わいたく、何とかねばる。
が、やがて限界。
寝床についたのは、午前5時である。
ちなみに、翌日は午前7時半に起床し、すぐさま撤収。
廃キャンプ場といっても、ハイキングコースの途中にあるため、日中の客に通報されないためである。
さすがに今からのシーズンは寒さがキツくなるが、またぜひともやりたい!