キックボード旅人の日常

キックボード旅人による、旅の話とか日常のこと。

夢の途中?

夢というテーマは、どうも恥ずかしくなってしまうのだが。
最近抱いていた自身の夢は、「旅ライター」である。
それで食って行くということがいちばんの理想であり、そうでなくとも出版などで収入を得る、といったところだ。

30歳を過ぎてからだろうか、その夢に対する情熱が、薄れてしまっている。
逆にいえば、まだかすかながらも、残ってはいる。
そんな中途半端な気持ちがあったからだろう、古本屋で、聞いたこともない著者の「貧乏旅行」にまつわる日記本を買った。

何じゃこれ?
申し訳ないが、ムダな情報・強引すぎる話の転換・表現の統一感のなさなど、とてもうまいとは言えた文章ではない。
数ページ読んで、捨ててやろうと思ったほど。
でも、とりあえず読み始めた章節だけは、読んでやろうと。

・・・あれっ?
面白い。
文章のマズさで何度も視点が止まってはしまうものの、次々と読み進めてしまう。

というのは、著者の旅がとても個性的で、興味深いからである。
火山灰でスキー楽しんだり、イベントで使われた巨大雪像に穴掘って「かまくら」として住んだり。
あと、要所要所で土地の解説があったり、触れ合った人との交流が具体的であったり。


なるほど。
僕の旅や文章に、ぜんぜん足りていないものである。
文章のテクニックなんてのは、あくまで食材を引き立てるためのスパイスである。
文章の題材、いわゆる食材自体がおいしくないと、どんなスパイスを使ったところで、うまくなるわけがない。

ただ風景と心情だけを交差させているだけの、単調な自信の旅日記スタイルも、いっぺん見直すべきなのかも知れない。
やはり旅そのものも旅日記も、メリハリがあってこそ、興味がわくのだ。


などという、諦めかけていた「夢」を再燃させてくれる、すばらしい本に出会えてよかった。
といっても、出版社に売り込みに行ったりする、というほど熱心なことは、ちょっとできないかも知れない。
逆に、今では電子出版なんて手法があり、少なくとも「収入を得る」ということはできる。
その収入で食っていける、というほどはムリにしても、まずは自分の旅日記が、少額であってもお金を生むという小さな達成感を得るのも、悪くはないと思えてきた。