恒例は、ときに怠慢を呼び起こす。
年末の恒例行事である、GORIとの忘年会は、今年も開催された。
例年どおり、クリスマスのさなかに、思い出したかのようにメールをして承諾を得る。
毎年、新世界で串カツを食べ、日本橋をウロつく、というパターンが続いていた。
ので、今年は新しい風を送ろう、と。
どこか旅行へ行こう、ということになった。
それが、いろいろな事情が重なり、「泊まり」となったのは、前日のこと。
さらに、宿が決まったのは、当日の午前1時半。
どんな宿がいいかという希望も二転三転し、予約直前で狙った宿が埋まったりしながら、とりあえずで決まったような宿となった。
恒例行事と構えていた怠慢さが引き起こした、事故ともいえよう。
さておき、今年は男2人で、なぜか滋賀へ旅行することとなった。
行き先も目的地も定まらぬまま、行き当たりばったりな旅行となったのは、言わずもがな。
【わけわからん林道】
ナビをたよりに、GORIの車で滋賀へ。
高速を降り、一般道へ入るときに、いきなり道に迷う。
ナビがわかりにくいことも、道を勘違いしていたことも原因である。
とりあえず本通りへ向かおう、と車を進めると、どんどん細い道へとなる。
僕の愛車ジムニーならまだしも、GORIのでかい二輪駆動車では、決して走ってはいけない道である。
が、大学時代から悪ノリの過ぎるGORIは、構わずがんがん進む。
もう、10センチもずれたら脱輪、というギリギリの箇所も、試行錯誤しながら何とか越える。
個人的にはこういう悪ノリは好きではあるが、脱輪したら本当にシャレならない場所なので、どれほどイヤな汗をかいただろう。
【昼食:ラーメン一徹】
まずは昼食。
GORIのスマホで適当に調べた、「ラーメン一徹」。
駅のすぐ横にあるお店で、立地の割には目立たない場所にあり、「大丈夫か?」と思える店構え。
しかしながら、オススメとあったみそラーメンは、まったりと舌ざわりがよく、期待以上においしかった。
【びわ湖競艇】
道中にあった競艇場へ、ノリで散策。
GORIとは、かつて競輪はじめ、賭場めぐりをしたこともあり、互いのニーズが合致したのだ。
年末なんて刈り入れ時だろうに、思ったほど客が少ない。
不景気のあおりか、純粋に競艇ファンの減少か。
若者が目立って多かったのは、意外ではあった。
2レースだけ、とりあえずやってみることに。
しかしまぁ、わからない!
競艇は何度か来ているが、何をどう予想していいのやら、勝負どころがまったくわからないのだ。
当然2人ともハズレ、あと2レースあったが、潔く後を去った。
【遊郭跡】
そこから少し離れた場所に、遊郭跡があるとのこと。
足を踏み入れるや、まずはやたらバーやスナックの看板が目に飛び込む。
一見、ただの住宅地にしか見えないだけに、やけに不自然に見える。
と同時に、これも遊郭から住宅地へ変遷した名残なのか。
やがて、古い屋敷を多数目にするようになる。
中には、料亭を営むお店であったり、それの廃墟であったり。
料亭という冠こそが、まさしく遊郭の名残であることを確信できる。
そしてぽつりぽつりと目にするのが、大阪某所の、現存する遊郭とほぼ似通った玄関構えの廃墟。
また、住宅地からせまい路地を一歩入るや、会員制のスナックが立ち並ぶ古い古い屋敷など。
とても1人では、足を踏み入れることができない恐さがある。
今までいろんなディープスポットを見てきたが、今までにない陰気さのある光景である。
【宿】
夕方5時過ぎ、宿へチェックイン。
近江舞子という場所で、夏にビーチとしてにぎわう場所である。
ビーチといっても、もちろん滋賀なので、湖にあるビーチである。
こんな時期に客なんておらんやろ、と思いきや、僕ら以外に10人はいるらしい。
まず部屋を案内されたのだが、4畳半に簡易ベッドが2つ並べられただけの、実に簡素な宿。
数々の安宿を目にしてきたが、ここまで簡素なのも、珍しい。
まぁ、個人的には寝るだけなので問題はないが。
【温泉:比良とぴあ】
宿でもらった入湯券を片手に、車で数分の「比良とぴあ」という温泉へ。
近所にある「びわ湖バレイスキー場」から流れてくる客もあるらしく、やたら人が多い。
にもかかわらず、それにギリギリでしか対応できないキャパシティ。
洗い場は立って待っていないといけないし、湯船は常時いっぱい。
お湯は無色無臭であるが、れっきとした温泉であることには変わりないそうで、そこはまぁよし。
というか、外ががっつり冷え込むこの地方で、露天風呂は純粋に気持ちがよい。
【近江牛焼肉】
宿へ戻ってからは、夕食。
何と、近江牛を使った焼肉が食べられるのだ。
それで1泊7,000円という破格が、この宿に決めた大きな理由である。
食堂へ入るや、隣の倉庫のような場所へ通される。
広々とした空間に、ストーブ1台と、テーブルセットが1つ。
お肉セットをボンと渡されてからは、一切接客はなく、貸し切りというのか、放置というのか。
あまりにもシュールな光景で、男2人もご満悦。
お肉は、まあまあ。
「近江牛」という響きで期待していたが、それほどではない。
が、少なくとも外国産のような固さや脂身の多さもなく、ただ純粋においしいというか。
ごはんはテーブルに置かれたジャーからとり放題なので、量は申し分ない。
あらかじめ調べていたとおり、ビールの持ち込みが自由というのはうれしい。
炭は絶妙なおこり具合で、炎がばっとあがることもなく、純粋に遠赤外線で肉が焼ける。
これは、もっと大人数で集まって、ただ焼肉をするためだけに使うというのもアリである。
冬場、BBQなんてできないからね。
そんな、アタリだらけの1日目が終了。
温泉旅館でしっぽりぜいたくに、というプランもあったが、この2人で過ごすには、こういうシュールな展開続きのほうがよいと思う。
2日目の公開は年越しになるが、これまたもうひとパンチあるので、早く書きたくて仕方がない。