キックボード旅人の日常

キックボード旅人による、旅の話とか日常のこと。

ベランダでの攻防

こんな季節に、厚手の長ソデを着て、ニットキャップとバンダナで顔を隠し、バイク用の厚いグローブをはめる。
夜中のベランダで、手すりにまたがっている姿を見て、よくご近所さんが通報しなかったものだ。

つい先ほどのことである。
ベランダにハチの巣があるから駆除してくれ、と母から依頼を受けたのだ。

ハチの巣駆除なんて、もちろんやったことがない。
そんなの、市役所でやってもらえるのでは?
と調べてみると、どうやら最近では市役所は動いてくれないらしい。

母があらかじめ買った駆除用スプレー片手に、装備をしっかりとして、ベランダへ。
ベランダにある透明の屋根の、その先に巣らしきものがある。
手すりに腰をかけ、手をのばしてようやくスプレーの噴出ができるという、実にやっかいな場所である。

ホンマに、スプレーだけでいけるの?
ハチに返り討ちにあうのでは?
などなど不安に襲われながらも、なぜかウキウキとした気持ちが芽生えてくる。

いざ、噴射。
するとどうだ、まったく姿の見えなかったハチが、巣から次々と出てくる。
こんな小さな巣に、こんなに入んの?と思えるほどの量である。

それよりも予想外だったのが、スプレーの威力。
もう、巣から出てきたハチは、ものの数秒で動きが止まる。
なるほど、これなら反撃を恐れるどころではない。

作業にして、1分もかからなかった。
ハチには申し訳ないが、巣からウニョウニョ出てくる姿は、実に気持ちのよいものである。
もっと駆除したい、という、虫取りに夢中になる少年のような心が、うずいてたまらない。