キックボード旅人の日常

キックボード旅人による、旅の話とか日常のこと。

家島諸島ほうろうき~後編~

家島諸島日記、さいご。


【家島:朝】
早めに寝たというのに、昨日の疲れはとれず二度寝して、宿を出たのは午前10時過ぎ。
今日は島を一周歩き倒す予定だったが、とてもそんな元気がない。

というテンションに対する唯一の救いは、レンタサイクルがあるということ。
1日借りて600円、都会では高価だが、こういう状況ではむしろ安くすら感じる。


【家島:東部】
変速器なし、ブレーキほとんどきかずのママチャリにまたがり、まず向かったのは島東部。
海沿いをひたすら走り、10分そこらでたどり着いたのは、家島神社。

石段の上にある境内までの道は、思いがけず長い。
上るごとに、石段が増えていっているのでは、と錯覚するほど。

上りきったすぐそこには、駐車場がある。
えっ、車で来れんの?
石段を上った人のみが訪れられる場所、という神聖なイメージは、あえなくリセット。


自転車に戻り、今度は島東部をぐるっと周遊するための道を進む。
これが、とんでもない坂道!

途中、パチンコ屋の廃墟がたたずむ。
こんな車でしか来れない、しかもまわりに家のない場所に、派手な建物をつくったものだ。
あまりに考えられない立地条件から、この島も繁栄した歴史があるのだな、と勝手に思う。

さらに坂を上り、展望台にもなっている公園へ。
びっしりと港に並ぶ釣り船と、大きく広がる空と海のコントラストは、すばらしい。


そこからは、民家をすり抜ける下り坂。
車1台が何とか通れるだろう道沿いに、家がびっしり立ち並ぶ。
こんな坂の、こんな高台に住まんでも!
と、離島に来るたびに思ってしまう。


【昼食】
宿近くに戻り、民家やフェリー乗り場のすぐ近くにある小さな公園で、昼食。
さば缶ともやしの炒めたものと、ステンレス鍋で炊いた白ごはん。

ちょうど近くに、魚を売る小さな露店があったので、そこで新鮮なイカをさばいてもらい、お造り。
そんなぜいたくなアウトドアクッキングで、空腹を満たす。

ただ、露店のおばちゃんが何度も「こんなところで火ぃ炊いて!」と言いに来るさまが、少し厄介だった。
まぁこちらも十分なマナー違反なので言い返す言葉もないのだが、言い方がイヤミっぽいのでね。


【家島:西部】
昼食後、今度は島の西へ。
こちらも、途中から長い坂になる。
東部とは違い、家が少ない。

やがて坂を下ると、昨日島へ上陸したときの、港へ到着。
30分はかかるはずの道のりが、その半分くらいで来れたのは、ひとえに道を間違ったのだろう。
ぐるっと海岸沿いに来るつもりが、内陸部を通ったらしい。

といって、引き返すわけにもいかず、そのまま昨日宿まで歩いた道を通り、フェリー乗り場へ。


そんなこんなで、離島めぐり終了。
一発めの男鹿島が、とにかくがパンチ強すぎてて、今となっては思い出がそこに集約されてしまっている。

が、ふだん見ることのない景色を堪能できるというのは、どこの島も同じ。
山奥で育った僕としては、漁港の続く光景があるというだけで、じゅうぶんである。


どんな観光地よりも、今は離島が楽しくてたまらない。
こんな個性豊かで、数も多く、比較的安価でまわれる観光地は、日本ならでは。
離島めぐりが観光としてあまりはやらないことが、意外で仕方がない。

まぁ、はやると人が増えるのでイヤなのだけれど。