キックボード旅人の日常

キックボード旅人による、旅の話とか日常のこと。

緊急停車

言語としては理解できなくとも、その大きな声からは、ただならぬ事態が生じていることがうかがえた。
わずか5mほどの距離にいても、乗客のひしめく列車内では、具体的に何が起きたかはなかなか伝わってこない。

「緊急ボタンがあったら、押してください!」
人伝えで声が送られ、ようやくそれを理解できたのは、はじめて声を聞いてから1分くらいか。
あたりは騒然とし、間もなく電車は最寄り駅で緊急停止した。


とまぁ、帰りの電車の同じ車輌で、急病人が出たわけである。
何でも、急に人が意識を失い倒れ、けいれんを起こしていたそうな。

こういうとき、仕方がないながらも、何もできない自分がもどかしく思える。
何もできない、でも助けたい。
車内の一同もそう思っていたのだろう、誰もがその現場を、見守るようにじっと見ていた。


賞賛すべきは、倒れたすぐ近くにいたらしい、1人の男性。
「緊急ボタンがあったら、押してください!」とはじめに叫んでいた、主である。

その後も、「車輌内に医療関係の人いませんか?」
「隣の車輌にも、呼びかけてもらえますか?」
「車掌さん、車内アナウンスで呼びかけてもらえませんか?」
と、冷静かつ的確な判断を下す。

結局他の車輌から、応急処置のできる方がかけよってきて、救急隊員が来るまで処置をほどこしていた。
自分があの場所にいたら、同じことができただろうか。


軽蔑すべきは、JR西日本
非常ボタンが押されてから、応答までに1分以上かかった。
どうやら、非常ボタンを押しっぱなしにしたまま、マイクに話しかけないといけないのだ。
なんぼ横に説明が書いてるとしても、緊急時そんなことに気がつくか!

電車が緊急停車したあとも、客から「車掌おらんのか?」とどなられるまで、車掌が来なかった。
ちなみに後ろから2両目での事件なので、すぐにかけ寄れるはずの距離。
まずは非常ボタンが押された場所まで、何が起こったか確認しに行くべきやろ。

車内で急病人が出ることは、年に何度かあるはず。
やのに、それの対応マニュアルができてへんて、どういうこと?
早急な対応を要する症状やったら、どないすんねん!


すべて収まったのは、20分後。
救急隊員が来たときには意識が戻っていたらしく、大事に至らなかったことが何よりである。

車内が騒然となっているさなか、隣で平然とエロマンガを見ていた若者をなぐってやりたかった。